ビザアドバイス
2005/03/07
Vol.78 ソーシャルセキュリティー番号とビザの関わりについて
社会保障庁(The Social Security Administration)はこれまで米国市民ではない外国人に対し、例えば運転免許証の取得のためなど就労目的ではないケースにおいてもソーシャルセキュリティー番号(以下SS#)を発行してきました。しかしながら現在の規則ではそれら外国人が就労以外の目的でSS#を取得するためには連邦政府資金による扶助金(Federally funded benefits)を受け取る目的か、一般公共からの支援(general public assistance)を受け取る目的以外は取得できないことになっています。従って今では規則上、それら外国人が運転免許証取得の目的だけでSS#を取得することはできなくなっています。
以前は7歳未満の子供であればSS#取得のために身元の証明となる書類の提示は必要ではありませんでした。また18歳未満の子供に対しては面接は必要とされませんでした。しかしながら現在の新しい規則では新規SS#カードの申請に対し、7歳未満の子供に対しても身元証明のための書類提示が必要となり、更に12歳以上の申請者は皆、面接が必要になりました。
さてこのSS#取得とビザ取得がどの様に関係しているのでしょうか。一つの例として、移民ビザ申請と同時にSS#を申請するというものがあります。米国市民ではない外国人が自国にて移民ビザを申請する際、Form DS-230-PartⅠ及びPartⅡ(移民ビザ並びに外国人登録申請のための用紙)が米国領事館面接のために必要となります。そ
のフォームの中にはSS#に関する質問があり、取得のためにはその質問33a及び33bの答えをYesと選択する必要があります。無事永住権保持者として米国入国後、SSカードが約3週間程で申請書に記入した住所宛てに届くことになります。ただ米国入国後、SSカードが届くまでの間にSSカードの送り先住所を変更した場合は社会保障庁に
電話し、その移転の旨を伝えなければなりません。
もしビザ取得のためにSS#を申請しなかった場合や新規SS#申請当時18歳未満であった場合は必ず最寄のSSオフィス(米国内に定住所(Permanent Address)があればそこを基点とする)に出向いてSSカードを申請しなければなりません。最寄のSSオフィスの確認は www.socialsecurity.gov からオンラインで、又はフリーダイヤル1-800-772-1213にて住所を確認することができます。(月-金 7:00am-7:00pm(東部時間))
SSカード取得のためSSオフィスに出向く際は申請する家族それぞれに対し、以下の書類の原本を持参しなければなりません。
1. パスポート(又は渡航暦を記した正式書類)
2. グリーンカード(I-551) (持っている人のみ)
3. 出生記録(birth record)
4. I-94(出入国記録カード)
またビザ取得に応じて、SSカードを変更するという例もあります。例えば”Not Valid for Employment”と注釈のついたSSカードを持った人が、移民局から就労が許可された場合、その注釈を取り除くため、代替カード(replacement card)を申請することとなります。ただしこの場合SSカードの番号そのものは変わりません。この代替カードの申請には http://www.socialsecurity.gov/online/ss-5.html からオンラインにてFormSS-5という申請用紙をダウンロードする必要があります。そしてそれを記入後、最寄のSSオフィスへこの書類を持参するか、郵送することになります。申請費用は無料で、必要な書類が全て届き次第、約2週間で手元に新しいSSカードが届くことになります。
実際、現在の連邦法を見る限り企業がSS#をもっていない人物を雇用することを禁じている法的罰則はありません。同様にSS#を持っていない就労者に対する賃金の支払いを禁じている連邦法も存在しません。ただし受給者はSS#の代わりにTaxpayer Identification Number(TIN納税者証明番号)を国税庁へ手続きし、それを利用するこ
とで確定申告を行わなければなりません。
最後に学生ビザ保持者とSS#の関わりを例に取り上げます。現在では米国の留学生に対してはSS#の取得 最後に学生ビザ保持者とSS#の関わりを例に取り上げます。現在では米国の留学生に対してはSS#の取得は必要とされていません。従って、米国にて限られた期間の就労が認められた学生は社会保障(SS)がカバーされないことになり、SS税も課せられません。米国での滞在目的が就労である、又は専攻と関連した職務に就いているF-1、
J-1、M-1ビザ保持者がその例です。従ってこれらビザ保持者はSS税やメディケアのための税金控除がないということも意味します。通常これらの控除を受けることのできる対象の学生は限られており、通常はキャンパス内での就労、プラクティカルトレーニング、又は経済的困難時の就労(学生が自国の経済状況の悪化や資金援助をしている家族の経済状況が困難になったことなどを理由に就労許可を申請することが可能)のみとなります。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/
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