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2007/05/21
Vol.129 移民関税執行局(ICE)による強制捜査によりテキサス州にある食肉加工工場の1300人にものぼる従業員が拘留となる
ICEの強制捜査に関する記事は以前も紹介致しましたが、今回同様のニュースを紹介します。ICEは、2006年12月の第1週、Swift & Co社の工場6箇所に強制捜査に入りました(Cactus, TX, Grand Island, NE, Greeley, CO, Hyrum, UT,Marshalltown, IA, Worthington, MN)。ICEからの連邦捜査員及びその他の法律執行機関からの担当職員はSwift社において不特定の多くの従業員の移民法上のステータス調査を行うためにその6箇所の工場に捜査に入ったというわけです。2006年2月に開始されたICEにより公表された調査報告によると多くの不法滞在者がSwift社での雇用のためアメリカ市民または永住権保持者と偽り、不当にソーシャルセキュリティー番号を使用していたというものでした。2006年12月13日、Swift社幹部による発表によると今回の強制捜査により1300人を超える従業員が拘留されたということです。今回の強制捜査を認めた召喚状をもとに、ICEはアメリカに不法滞在し、不法に就労している従業員を逮捕するに至りました。報告書によると逮捕された従業員を搬送するための無数のバスが6箇所すべての工場において用意されていたと言います。Greeleyにおいては最初の時点で300人を超える従業員が拘留され、その数は工場全体の半分近くの加工労働者にも及んだという報告がありました。
ICEの見解では今回の工場での逮捕は、悪化しているID盗難またそれに関連した違反行為による刑事責任と位置づけています。しかしながら12月13日の時点ではSwift社に対して一切の告訴がなされておりません。Swift社幹部は一時的に6箇所全ての工場の作業を停止し、すぐにでも作業を開始する予定にしていました。しかしながら一旦連邦審査員の捜査が終わった時点で、作業員が減ったことにより工場の作業能力がいったいどれほどになるのか検討も付かない状況でした。報告によると当工場では、作業停止と共に、家畜を搬送するトラックは全て朝早くに工場のゲート奥付近に停車させ、その日の遅くには家畜用の牛を飼養場に戻したということです。
今回の作業停止を受け、当社の作業が完全に元に戻るまでは家畜マーケットに結果としてどのような影響を及ぼすかはっきりしません。しかしながらICEによる強制捜査の後、Swift社の幹部はそれまでと比べると処理能力は落ちたが、作業は開始したと言うことです。
更に12月の第2週、定かな情報ではありませんが、近い将来、他の食肉加工工場へ同様の強制捜査が入るという話しも出ています。そうなると家畜マーケットは、不法労働者にて支えられていることから、それら労働力を失うことで、生産処理能力が追いつかず、更に大きな打撃を受けることになりかねません。
一方、Swift社幹部によると今回のICEによる強制捜査は約10年前にBasic Pilot worker authorization programに参加した企業との間で交わされた同意に反するとしています。更に今回の強制捜査は、従業員各人への人権侵害の可能性を訴えています。
またSwift社のCEOでもあるSam Rovit氏は次のようにコメントしています。“Swift社は就労資格のない従業員の雇用を決して容認しておらず、且つそのようなことを知っていて雇用したこともありません。1997年のBasic Pilot Program開始以来、今回ICEにより逮捕された従業員を含め、アメリカ国内で採用した全ての従業員一人一人は皆I-9フォームを記入し、そのプログラムに則り、きちんと就労許可を受けています。Swift社はそのルールに忠実に従っており、プログラムそのものも当時のアメリカ大統領により明確に打ち出されたものです。”
このように食肉加工業界においてはその従業員の情報に関し、“Catch-22”の状態が続いています。いわゆる解決策がみあたらないジレンマのような状況に陥っていると言えます。2001年、Swift社は米国司法省による従業員の入念な履歴調査の結果、罰則を受けることとなりました。この年、Swift社はその雇用手法に対し違反として250万ドルの民事訴訟告訴請求を受けました。それから2年後、和解によりSwift社は20万ドルの罰金を支払いました。会社側にとってこの雇用問題は非常に難しい問題で不法滞在者を雇用しても違反となるし、彼らのIDを疑うなどで雇用しなかったとしても差別という問題が発生するというジレンマが残ったままの賠償金支払いとなってしまいました。 このようにICEによる強制捜査は以前にも増して厳しく行われております。I-9のフォーム記入はもちろんのこと、問題が発生すれば企業側の責任が厳しく問われる形となります。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/
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