ビザアドバイス
2007/09/04
Vol.140 新J-1ビザ規則
2007年6月19日、国務省は連邦官報(Federal Register-Vol.72, No.117)において新J-1ビザ規則を公表いたしました。この新J-1規則は2007年7月19日より施行開始となりました。これまで実施されてきたJ-1トレーニングプログラムはフルブライト・ヘイズ法の目的を全体的には高いレベルで達成してきていると言えます。しかし一方で国務省はトレーニングプログラムのスポンサー機関(以下、スポンサー機関)の中には誤った形でトレーニングプログラムを実施していることも認識していました。例えばトレーニングと称し、実際にはトレーニングを実施する会社の一従業員としての就労が目的となっています。最近ではH-1Bビザの代用として、また他のビザ取得までの繋ぎとして使用されています。これらを背景として国務省は、J-1トレーニングプログラムがより正当に実施されるよう、より厳しい新規則を打ち出しました。
その中でも注目すべき内容を紹介いたします。
- 国務省は新インターンプログラムを設けました。対象となるインターン生は最大で12ヶ月間のトレーニングによる米国滞在が可能で、米国外の中等後教育機関(4年制大学、大学院、短大、専門学校など)に現在通っている、またはトレーニングプログラム開始前12ヶ月以内において米国外の中等後教育機関を卒業していることがインターン生としての条件となります。
- トレーニングプログラム参加申請者(トレイニー)は米国外の中等後教育機関での学位を持ち、更にトレーニングに関する海外での職務経験が少なくとも1年以上あること、もしくはトレーニングに関する海外での職務経験が5年以上あることが参加の条件となります。
- 接客業、旅行業界におけるトレーニングプログラムの期間はその内容がマネージメントプログラムでなければ、12ヶ月に限られます。更にスポンサー機関は接客業及び旅行業界におけるトレーニングを6ヶ月以上とし、少なくとも3箇所の部署もしくは職務をローテーションするものとしなければなりません。
- 新規則には交換訪問者トレーニング、インターンプログラムが就労を目的とした雇用の代用となってはいけない、とはっきり記載されています。
- スポンサー機関はトレーニング参加者・インターン生はトレーニングに関する日々の業務に必要とされている充分な立証済みの英語力があることを確認しなければなりません。この充分な英語力の立証確認は公認の英語テストや語学学校などからの署名入りの手紙、スポンサー機関等による直接対面式、ビデオ会議、またはインターネットカメラを通した面接の実施を通して可能となります。
- トレーニング・インターンプログラムとはトレーニング参加者がトレーニングプログラムを通してアメリカの技術、方法論、専門性に触れ、それを基に現在持っている知識や技能を更に向上させるものでなければなりません。
- 実際にトレーニングを行う会社、パートナー、地元企業、またその他国内外の代理業者など第3機関は、スポンサー機関のトレーニングプログラム実施について、スポンサー機関と同意書による契約を交わさなければなりません。更に米国のスポンサー機関は米国外でビジネスを行っている第3機関が自国において合法的な機関であるかも確認しなければなりません。
- スポンサー機関は実際にトレーニングを実施する会社がDun & Bradstreet ID番号、EINタックス番号を持っているか、またその会社の電話番号、住所、ビジネス内容、更に給与制度も確認しなければなりません。
- スポンサー機関は、提供しているトレーニングプログラム以外の独自のトレーニングプログラムを実施している会社に対し、その会社が従業員25人未満もしくは年間売り上げが$300万ドル未満である場合には直接訪問によるトレーニングの実施内容の確認を行わなければなりません。
- 新DS-7002フォームの提出が必要で、実際にトレーニングを実施する会社からの署名が必要となります。トレーニング参加者はこのフォームを在外米国大使館・領事館での面接に持参しなければなりません。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/
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