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2008/03/17
Vol.152  フォームI-94の管理

アメリカ国外へ出国する際、空港などでI-94が回収されずにパスポートに貼り付けたままアメリカを出国した時の対応について問合わせを受けることがあります。事実弊社のお客様でも、アメリカから出国の際I-94が回収されなかった事実があり、ビザの有効期限以降もアメリカに滞在していた記録が残っていたことで、その後の永住権申請審査に大幅な遅れが生じたケースもあります。このI-94が正当に回収されなかった場合の対応について最近、米国税関国境警備局(CBP:US Customs and Border Protection)によりガイダンスが出されました。

I-94とは通常、飛行機の中で書き込む出入国記録カードのことで、ビザを持っている人は白色、ビザウェイバーの人には緑色を使用します。もしこのI-94がアメリカ出国の際回収されず、パスポートに貼り付けられたまま出国した場合、それは正しく出国が記録として残らないことを意味します。そうなってしまうと後の処理は自己責任となり、滞在期限内にアメリカを正当に出国したことを記録として残すために、CBPに訂正のため充分な情報を提供する必要があります。

このような法的手続きを行わなかったり、将来的にビザを申請する際に正当な出国を証明する資料を提出しない場合、CBPは滞在期限を越えてアメリカに滞在していたと結論付けるかもしれません。そうすると将来申請するビザは却下の可能性があったり、またアメリカ入国の際に入国できず、直ちに出国場所への送還措置が取られることになりかねません。とりわけビザウェイバーで入国し、滞在期限を越えてアメリカに滞在し続けていることになれば、将来有効なビザを取得しない限り、このビザウェイバープログラムを通してアメリカに入国することはできません。もしアメリカ出国の際、I-94を返さなかった場合、I-94をアメリカを出国したことを証明する補足書類と伴に下記住所へ送付するようにしてください。

ACS - CBP SBU
1084 South Laurel Road
London, KY 40744

この住所以外のCBPには関連書類は送らないようにしてください。ここだけが将来起こるであろう問題を防ぐためにCBPの出国記録を訂正することができます。CBPへはアメリカを正当に出国していた事実を立証できる補足書類を出すことになりますが、有効ないくつかの書類例が下記の通りです。

- アメリカ出国の際のオリジナルのボーディングパス
- パスポートに印された出入国記録を含むパスポートのコピー
- アメリカ出国後にアメリカ国外で就労していたことを証明する給与明細のコピー
- アメリカ出国後にアメリカ国外で銀行を通して行った取引の記録
- アメリカ出国後にアメリカ国外で就学していたことを証明する書類のコピー
- アメリカ出国後にアメリカ国外で使用したクレジットカードの記録

これら書類だけではありませんが、これら書類の内容が英語以外で記載されている場合は英語での説明を加えることで、出国記録の訂正処理がよりスムーズに行われるでしょう。実際の訂正はこれら補足書類の提出は欠かせないものとなるでしょうが、コピーを送る際は法的に有効なもので、オリジナルの書類を送る際は、控えとして自分でもコピーを取っておいてください。CBPでの処理後は送付書類は返却されません。特に自分で控えを取っておく最大の理由は、次回アメリカへ入国する際、審査官から過去の滞在の説明を受けた際に役に立つからです。

ただアメリカ滞在中、カナダやメキシコなど隣国へ30日以内旅行する場合は、回収されない場合が殆どです。最終的にアメリカを出国する際に手持ちのI-94を返却するようにして下さい。

この小さなI-94カードがアメリカ滞在を管理する絶対的な書類である事を意識している人は多くないのが現状です。これは出国の時だけではなく、アメリカ入国の際にも同様のことが言えます。合法的なアメリカ滞在という意味においては、例えばアメリカ入国の際、審査官が滞在期限をI-94に記載しますが、その滞在期限の記載に誤りが無いかも必ず確認するようにしてください。確認もしないまま思い込みでアメリカに滞在し続けていると、結果的に不法滞在になってしまったということもあり得るからです。

アメリカ出国に関しては、自分自身がI-94をついうっかり返却し忘れた場合に限らず、空港でチェックインする際に航空会社の係員が回収し忘れることもあるかもしれません。いかなる場合であれ、最終的にはI-94の管理は個人の責任と言わざるを得ないでしょう。今後、アメリカでの出入国の際はI-94の記載確認、及び返却を忘れないよう注意してください。
弁護士 デビッド・シンデル
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