ビザアドバイス
2008/12/15
Vol.166 移民関税執行局(ICE)による日系企業及びその従業員に対する訪問捜査 (その2)
前回は国土安全保障省移民関税執行局(ICE)による日系企業へのH-1B保持者に対する訪問調査が実際に行われ、その際に問われた質問事例を取り上げました。そこで今回の件を受け、弊社では皆様にもICE捜査官の直接訪問の可能性があるということを改めて忠告したいと思います。それはH-1Bビザに限らず、あらゆるビザが該当します。また路上、職場、自宅など、いつでもICE捜査官の直接訪問の可能性があることから、皆さんが、ステータス及び就労先のことに関していつでも正当に答えることができるようにしておく必要があります。恐らく、ポジションや職務内容など申請書の内容に矛盾して返答した場合はスポンサー会社に対して更に厳しい追跡捜査が開始されることになるでしょう。
一方、もし警察や移民局捜査官が自宅を訪問してきたら、皆さんにはその訪問に対する召喚状(Warrant)を確認できる権利があります。捜査官は対象者の自宅に入るためには裁判官の署名入りの召喚状が必要となります。従って捜査官が自宅前に訪れてきたら、安易にドアを開けず、まず捜査官に召喚状の確認のため、ドアの隙間から召喚状を渡すよう尋ねることです。もし安易にドアを開け、捜査官を家の中に入れると、この行為そのものが自宅へ入れることを承諾することになります。仮に捜査官が召喚状を持ち合法的に家に入ってきたとしても、召喚状に記載のないことに関して捜査していないか常に観察してください。更に捜査官が没収した全てのものに対して領収書を受け取ることも忘れないようにしてください。
またICE捜査官が会社を直接捜査訪問してきた場合、その時もまた捜査官は会社に入るためには召喚状もしくは会社の承諾を必要とします。捜査官が会社以外の公共の場で呼びとめる場合、彼らは召喚状を必要としません。その場合は落ち着いて、決してその場から逃げないようにしてください。仮に捜査官が路上であなたを呼び止めたとしても、あなたが外国人として米国に不法に滞在しているという具体的な根拠がない限り逮捕することはないでしょう。あなたは必ずしも捜査官に対して自分の移民ステータスや出生地を伝える必要はありません。もちろん自分自身、一切の隠し事がないということであれば捜査官に協力的に対応できるでしょうが、そういう場合であっても必ずしも全てを答える義務はありません。
今後、捜査官が会社もしくは個人を直接捜査訪問してきた場合、常に黙秘権が認められており、弁護士とコンタクトを取ることが許されております。場合によっては拘留されることもあるかもしれませんが、自動的に弁護士に接見する権利も認められております。
弊社では今後ともICEに関わる記事を含め移民法に関する様々な情報を随時提供いたします。それら記事に関しては弊社ウェブサイト(www.sindelllaw.com)にてご覧いただけます。もしくは弊社では定期的に無料Emailニュースレターを発行しておりますので、そちらでも最新情報をご覧いただけます(送付希望問合せ先:yoshikubo@sindelllaw.com)。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/
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