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2009/08/18
Vol.181  H-1B 同時申請とポータビリティー規則    その3

前回のテーマから引き続き、今回は主にポータビリティー規則について紹介致します。前回、前々回とお伝えしてきました記事の基になっている移民局からの通達メモには永住権申請中の転職、つまりポータビリティー規則についての指針も発表されています。このポータビリティー規則とは永住権申請の最終段階となるAOS(永住権保持者へのステータス変更)申請後180日を超えればスポンサー会社を変更できるというものです。移民局はこのポータビリティー規則を利用するためには永住権の通常第2段階目となる元々の永住権スポンサー会社でのI-140申請は正当な申請に基づいているべきとしています。つまり元々申請されたI-140申請は永住権取得者が申請カテゴリー(雇用を基にした永住権申請には複数の申請カテゴリーが存在する)の条件を満たし移民局によって認可され得るものであることが再強調されています。
元々の永住権スポンサー会社であるI-140申請スポンサー会社は永住権保持者へのステータス変更申請(I-485申請)の前ステップとして重要な基礎となります。申請が正当なものであると判断されるために、このI-140申請はその申請時点において、永住権申請カテゴリーにおいて申請資格があった申請者に対して申請されたものでなければなりません。
一方でI-140申請が認可される前にこのポータビリティー規則を利用することにはリスクを伴います。永住権の認可を受けるためにはI-140申請の認可を受けなければなりません。つまりI-140申請の認可前にこのポータビリティー規則を利用する際は、その雇用を失う、他の選択肢がない、もしくは他に永住権を申請し取得できる別のオプションがある場合を除いては試みるべきではありません。しかし2005年12月27日に発表された通達メモによれば移民局は永住権取得者がI-140申請の実際の認可を受ける前にこのポータビリティー規則を利用しようとした際、元々申請されてたケースが“approvable”(認可可能なもの)であったかどうか判定していました。その規則には、もしAC21(ポータビリティー規則)が行使される場合、移民局はI-140申請が認可可能なものである、もしくは永住権申請最終段階申請の180日以内に審査していたら認可されていたかどうかを基準としてI-140申請を入念に審査確認しなければならない、という記載がありました。もしI-140申請が認可可能ということであれば、その申請は認可されるべきで、その後はI-485申請において残りのポータビリティー規則に必要な事項を基に審査されることになります。
以上3回に渡りましてRemainder申請、H-1B同時申請、I-485ポータビリティー申請について紹介してきました。今回紹介した内容は移民局の発表を基にしておりますが、実際個々のケースに応じて、複雑に影響する場合が多く、移民局解釈も中には変化している問題もあります。移民局はこれまでいくつかの解釈発表を行ってきましたが、法律上では事実グレーゾーンも多くあります。これら問題を解決するには、一度経験ある移民法弁護士に一度相談することが最適でしょう。

弁護士 デビッド・シンデル
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