アメリカ求人サイト「プロックスJ」を活用して、アメリカ就職・転職の勝ち組になろう!

アメリカ求人アイコン ビザアドバイス

2009/09/02
Vol.182  H-1Bビザ申請に関わる会社負担について ~その1~

H-1Bビザ申請に関わる弁護士費用はビザ取得者が直接当費用を支払ったり、会社が支払った場合でも当費用分を追ってビザ取得者の給与から差し引いたりすることはできるのでしょうか?
コーポレートクライアント、弁護士、そしてビザ取得者個人の間にある根本的かつ繊細な問題の一つに弁護士費用、移民局への申請費用、そしてその他H-1B申請に必要な諸費用の支払いに関する扱いがあります。米国移民局の見解ではH-1Bスポンサー会社は従業員数に応じて$750または$1500のトレーニング費を移民局へ支払わなければならないことになっています。もしスポンサー会社があらゆる形でビザ取得者からこのトレーニング費を会社へ払い戻させたり、追って給与から当費用分を差し引いたりすれば、移民局はスポンサー会社に対し罰金を課し会社としてのH-1B申請を一時的に禁じることがあります。
その他の費用はどうでしょうか?移民局はそれら費用の支払いについてはスポンサー会社とビザ取得者間で交渉できるもので法的規制はないという姿勢をとってきています。一方、会社からH-1B保持者への賃金支払いに関して監督権を持つ米国労働局は移民局とは異なる姿勢をとっています。その労働局の見解は多くの会社にとっては驚くべきものであることから、その内容について今回から数回に分けて詳しく紹介したいと思います。
米国労働局はH-1B申請に関する会社への監査をより頻繁に行っていると表明しています。労働局は当局職員の増員に関わる公的予算資金が増えたことで2009年は職員数を更に増加させH-1B監査をより厳しく行うことが予想されます。これまで労働局は基本的には持ち寄られた苦情を基にのみ会社への監査を行ってきました。しかし現在ではその監査対象範囲を広げ在外米国大使館・領事館からの照会を基にした監査も行っているようです。例えばビザ取得者による在外米国大使館・領事館でのビザ査証取得が却下となった場合、当大使館・領事館は労働局へ却下とした問題に対する調査依頼を行うかもしれません。更に労働局は無作為のH-1B監査も定期的に行うでしょう。中でも現在労働局が注目している問題の一つがビザ取得者による弁護士費用の支払いについてです。またスポンサー会社が一旦支払った弁護士費用やその他費用をビザ取得者から追って給与等から差し引く場合についても問題の一つとして重要視しています。
基本的に労働局解釈に対して弊社が受けている印象として労働局は弁護士費用、申請費用、詐欺費用($500)、トレーニング費用($750 or $1500)の全てについてH-1B保持者からの支払いを認めていません。もしH-1B保持者から何らかの支払いがなされた場合、スポンサー会社には罰金が課せられ、あらゆるまたは全ての経費をH-1B保持者へ払い戻すよう要求することがあるでしょう。労働局は会社によって当然支払うべき従業員への適切な給与額について、平均賃金額(Prevailing Wage:H-1B就労者に対して最低支払わなければならない金額でその金額は仕事のタイプ、就労場所、レベルに応じて変わる)か実際の給与額の高い方を採用するため、例え従業員への給与額が平均賃金額以上としても、この払い戻しの問題はH-1B保持者に実際に支払っている給与額は関係しないことを意味します。簡潔に言うとH-1B保持者がH-1B取得に関わるあらゆる費用を支払っている場合、労働局はこの支払いを容認できないものとし、違反の際は例え該当するH-1B保持者が会社を退職していたとしても、会社には罰金を課しH-1B保持者に対してはH-1B申請に関わる費用の払い戻しを命じることがあるということです。また例え会社が退職した従業員を見つけることができない場合においても労働局はその金額分を会社から没収することになり会社も労働局による会社への移民法遵守に対する取り組みに貢献しなければならないでしょう。

(次回へ続く)
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/