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2009/09/15
Vol.183  H-1Bビザ申請に関わる会社負担について ~その2~

H-1Bビザ申請に関わる弁護士費用はビザ取得者が直接当費用を支払ったり、会社が支払った場合でも当費用分を追ってビザ取得者の給与から差し引いたりすることはできるのでしょうか?前回に引き続き、この話題を紹介致します。
前回は会社が支払うべき費用について触れましたが、そこでもしH-1Bスポンサー会社がH-1B申請に関係する何らかの費用分をH-1B保持者の給与から追って差し引く場合、どのような点に注意すべきでしょうか?
まずH-1B申請に関わる会社が支払った費用分の払い戻しが“Authorized Deduction”, “Unauthorized Deduction”, そして ”Prohibited Deduction”の3つに区分されることを認識する必要があります。
まず“Authorized Deduction”について、この控除自体は H-1B申請に必要な Prevailing Wage(平均賃金額)への一切の影響を考慮することなく用いることが可能です。
次に“Unauthorized Deduction”について、これはNon-Paymentとして扱われる場合で、実際に会社側がビザ取得者の給与から一定の金額を差し引いた後、その残りの金額がH-1B申請時にLCA(Labor Condition Application)において会社が支払うと誓約した賃金額より高い場合に限り可能となります。この控除によりH-1B保持者の給与額は平均賃金額または実際の賃金額(当会社で同様のポジションで同様の仕事をしている他の従業員に支払われている金額)を下回ってはいけません。特に該当するH-1B保持者が、その会社においてH-1B申請上のポジションで就労している唯一の従業員だとすれば、そのH-1B保持者に支払っている賃金額そのものが控除限度基準となる実際の賃金額となるので、この場合は特に注意が必要でしょう。
最後に“Prohibited Deduction”についてで、これは平均賃金額への影響を考慮することなく従業員の給与から差し引くことはできないものです。各控除の中でもこの“Prohibited Deduction”が最も明らかでH-1B申請に関わる費用においては前回お伝えしたトレーニング費が唯一の“Prohibited Deduction”となります。
労働局により認められているH-1B申請に関わる費用の控除については下記のような条件があります。
- 控除が行われる場合、従業員の給与明細にその旨の記載がある
- 従業員が自発的にその控除に同意し、その意が同意書として文面で残される (雇用条件として賃金からの控除が記される場合はこれに該当しない)
- 控除それ自体が基本的にはビザ取得者の Benefitである
- 控除による会社への払い戻しが会社の経費支出を埋め合わせるものではない (H-1B申請は会社の経費と見なされるため“Authorized Deduction”とはならない)
- 控除する額が適正市場価格または実費のいずれか少ない方の金額を上回らない
- 控除する額がビザ受益者の可処分所得額の25%以上とはならない

これら条件には注意が必要です。

(次回へ続く)
弁護士 デビッド・シンデル
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