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2009/10/06
Vol.184  H-1Bビザ申請に関わる会社負担について ~その3~

前回はH-1B申請に関わる会社が支払った費用分の払い戻しが“Authorized Deduction”, “Unauthorized Deduction”, そして ”Prohibited Deduction”の3つに区分されることをお伝えしました。では具体的にはどのような例があるでしょうか。
例えば H-1B申請においてビザ取得者が米国外の教育機関での学歴や職務経験を基に H-1Bを申請する際、評価会社に対しそれら経験がどのような形で米国の学位に相当するか評価を依頼します。この評価にかかる費用は、“Authorized Deduction”として扱われます。同様に申請に必要な書類の英訳もビザ取得者により支払いが可能です。その理由として、それらはビザ取得者の Benefitとなるものであり、例えば今後転職する際にも申請等に使用できる上、その他の用途でも個人的に使用できるからです。もちろんその際、将来当書類のコピーを使用することもできます。しかし一方で、労働局見解によれば、それはH-1B申請に必要な過程の一つということで労働局はその評価はスポンサー会社側の必要経費であるという姿勢をとる可能性はあります。
H-1B取得者に同伴する家族のH-4ビザ取得に関わる弁護士費用はH-1B取得者が会社が支払う費用からBenefitを受けることになるため、“Authorized Deduction”と見なされるでしょう。更に仕事を通して海外出張の必要性がない場合の在外大使館・領事館でのビザ査証取得に関わる弁護士費用についても“Authorized Deduction”と見なされるでしょう。従って、これら申請過程に関わる弁護士費用を会社側が適切に控除するためには 弁護士費用の細かい内訳を把握することはとても重要です。
H-1B申請には$1000を移民局へ支払うことで短期間で結果を知ることのできるプレミアムプロセッシングという申請方法があります。この費用負担についても実際この申請が会社にとって有益となるのかそれともビザ取得者にとって有益となるのか、それによってauthorizedかunauthorizedかの扱いが変わります。このプレミアム申請は、しばしば会社及びビザ取得者の両方に有益となる一方で、どちらがプレミアム申請を要望したか、またどちらがより多くのメリットを受けるかしっかり見極めることが重要です。もしビザ取得者が全くの個人的理由でプレミアム申請を決めたのであれば会社側は“Authorized Deduction”として労働局によって規制された必要条件に従いビザ取得者より払い戻しを受けることができるかもしれません。
LCAまたはH-1B(I-129費用)申請に関わる弁護士費用についてはunauthorizedと見なされるでしょう。これら費用は会社側の経費と見なされることから“Authorized Deduction”とはなりません。
これら費用は必要な賃金額を下回らない限りにおいてはH-1B保持者の給与から差し引くことが可能です。しかしその必要賃金額が平均賃金額ではなく実際の賃金額である場合、いかなる控除も見なされないことになります。更にそれら費用が差し引かれない代わりに直接ビザ取得者が弁護士事務所に支払いそのものを行っている場合、労働局は会社に対してその支払い分を当ビザ取得者に払い戻すよう要求してくるでしょう。
あらゆる支払いがビザ取得者によって行われる、またはH-1B保持者の給与から控除がなされる前に会社はそれら支払いまた控除が許されるものであるかどうかしっかりと見極めなければなりません。更にその控除が許されるとすればそれは authorizedなのか、それとも unauthorizedなのかを明確にしなければなりません。一旦これら事前の決定がなされたら、その後は労働局が求めている基準を満たしているか確認する適切なステップを踏まなければなりません。
会社側はH-1B申請に関する費用をビザ取得者に支払わせることによって生じるリスクを充分理解することが重要です。これら問題に対して移民局は沈黙の姿勢をとっていますが、違反があれば労働局は罰金を課しH-1B保持者によって弁護士に支払われた全ての費用払い戻しを要求するでしょう。
弁護士 デビッド・シンデル
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