ビザアドバイス
2009/10/20
Vol.185 H-1B詐欺に対するICE(移民関税執行局)の対応、見解
これまでもICEによる厳しい取締りに関する記事は何度か提供してきましたが、今回はH-1B詐欺に対するICEの対応及び見解を紹介致します。最近の発表によると、連邦捜査のもと6つの州において連邦捜査員により逮捕者が出て、ニュージャージー州にあるVISION SYSTEMS GROUP, INC.も詐欺申請や$7.4Millionに上る罰金に対し起訴されました。
“今日政府が実施している強制捜査は疑わしいH-1Bビザ詐欺や郵便詐欺、陰謀に対する複数の州に及ぶ広範囲で継続的な調査の結果であり、Operation Pacific Vision”と呼ばれるこの調査は政府のあらゆるレベルにある法執行局の間での極めて優れた連携によるものである” と弁護士のWhitaker氏は語っています。
また移民局ディレクターであるMichael Aytes氏は“これは国土安全保障省がどのように詐欺を認識しているかの主な例であり、我々審査官はビザ申請過程における矛盾を見極めることができます。その結果が今日のあらゆる捜査の成功に繋がっています。ビザに関する詐欺はアメリカの移民システムを弱体化させています。我々職員がアメリカ人またビザ申請者が確信を持って信頼できる移民システム作りに貢献していることを誇りに思っています。”と語りました。
今回の調査はH-1B非移民ビザや特定の専門性を必要とする専門職で一時的にアメリカで働く労働者を主に雇用している会社を対象としています。調査対象となっている会社は外国人労働者は現在空いているポジションを埋め合わせるためにアメリカに来ていると主張しています。しかし申し立てによれば、会社はこれら外国人労働者に対するポジションは常時あったわけではなく、アメリカ到着後も無給で雇用していた例もありました。更にケースの中には外国人労働者は労働局からは許可を受けていない勤務地や職務に就く、代わりにアメリカ人労働者を免職する、会社が支払うべき一般賃金を法に則って支払っていない等の例もありました。更にビザスポンサー会社やビザ取得者個人の中にはビザ申請のために虚偽の記載や書類を提出していました。それら虚偽の記載や書類は州や連邦機関へビザ申請書類の一つとして郵送またはオンライン送信されていたということです。これら例に取り上げた会社はビザ詐欺、郵送詐欺、有線通信詐欺、マネーロンダリング、または陰謀の疑いがかけられています。
これら犯罪行為が確定した場合の罰則は最高で下記の通りになります。
陰謀罪:5年の禁固刑そして25万ドルの罰金
郵便詐欺罪:20年の禁固刑そして25万ドルの罰金
有線通信詐欺罪:20年の禁固刑そして25万ドルの罰金
移民法に関する虚偽申請罪:10年の禁固刑そして10万ドルの罰金
他の犯罪ケース同様、罪が確定するまでは推定無罪ではありますが、今後の政府によるH-1B詐欺に対する動向は更に注目です。これら調査は日系企業も例外なく対象となります。H-1Bにて従業員を雇用している企業をはじめ、このような調査対象となった場合の対応も心得ておく必要があるでしょう。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/
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