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2010/02/02
Vol.192  移民法に関する最新情報 ~その1~

先日私は毎年開催される米国民弁護士協会(AILA)主催の3日間に渡るカンファレンスに参加しました。私はこれまで弁護士として移民法に関わる仕事に長年携わってきておりますが、法律は年々複雑さを増し、政府の審査も年々厳しくなり、会社や申請者個人が提出すべき資料の基準も高くなり、その提出すべき資料の種類も年々増えてきていることを強く実感します。更に企業に対する強制監査調査も増加傾向にあり、H-1BやL-1申請時に支払う詐欺防止費用を基にした移民局による詐欺防止対策課も開設され、労働局によるH-1B監査の数も増えるなど、私達はこれまでにないほど厳しい状況に立たされていると言えます。
それら状況を踏まえ今回皆様にAILAカンファレンスより入手した情報を基にした関連情報をお届けいたします。
企業への強制捜査
今後実施される強制捜査の対象は主に雇用主になります。政府による新指針によると、より多くの訴追が雇用主や会社経営管理者に対して行われることになり、最近でもわずか1日で652社に対してI-9の監査通知書を出すなど、その動きはこれまでのものとは大きく異なり、厳しさを増しています。それら通知書を受け取った会社についてはICEによる直接の訪問捜査が行われることになるでしょう。この一斉のI-9監査通知書の発行は、あくまでも始まりであり今後の更なるICEによる動向には注目です。
なおI-9とは雇用主が労働者を雇用する際に米国市民かそうでないかに関わらず雇用主によって作成・保管されなければならない一枚の雇用資格確認フォームのことを言います。I-9の主な目的は1986年11月6日以降に雇われた従業員の就労資格と身元確認です。雇用主は指定された確認書類リストを基に就労資格と身元確認を雇用の際必ず行わなければなりません。移民改革規制法により、全ての雇用主に対して義務付けられ、違反があった場合には罰金や刑事罰があります。このI-9は監査請求がない限り移民局や労働局に提出する必要はなく、雇用主が管理、保管することになります。
そこで、ここ3年における移民法に関わる犯罪に対する法執行の状況を考慮すると、移民法に関するコンプライアンス違反につながる会社の特徴的要因が見えてきます。それら代表的なものを次に紹介します。
- I-9フォームの記入やI-9記入のための身分証明書や就労を許可する書類の確認を注意深く行っていない。
- 必要な人材雇用を確保するため、I-9に必要な身分証明書や就労を許可する書類の信憑性に対して疑問を持つことを躊躇する担当の会社経営管理者がいる。
- I-9管理を担当している会社経営管理者が、I-9に必要な各証明書確認の際、従業員が元来提出した各証明書の内容と矛盾する新しい書類を提出しても一切の疑問を持たない。
- 会社はソーシャルセキュリティーノーマッチレターを受け取っても、その相違点について何ら正当な対応をしていない。
- 会社経営管理者は社内に不法就労者がいる、また就労資格のない契約社員がいるなどの噂や苦情に対して一切の対応を行わない。
- 新規雇用予定者の殆どが主に友人や親戚を含む現在の従業員とつながっている。
- 採用決定が入念な審査によって行われず、是が非でも就職したいという求職者に対する同情や、単に人材を確保したいという理由で行われる。
- 会社が例えば労災補償やその他福利厚生等を取り扱う機関など関係各機関とのコミュニケーションを怠っている。それら関係機関は、会社が提出した従業員情報が正当ではない、また合法的にソーシャルセキュリティーカードを所有する従業員の福利厚生等に関する申請が、そうではない従業員の一人が不正にそれら合法的カード保持者の個人情報を使用していることで却下となる、などの助言を行うこともあります。
(次回へ続く)
弁護士 デビッド・シンデル
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