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2010/02/16
Vol.193  移民法に関する最新情報 ~その2~

前回に引き続き米国民弁護士協会(AILA)のカンファレンスより入手した情報をお伝えいたします。
H-1B年間上限枠について
現在の落ち込んだ経済状況は2009年4月1日から受付開始された2010年度新規H-1B申請(2009年10月1日以降就労可能)の受付け状況にも大きく影響しています。2009年9月18日時点で2010年度新規H-1B申請の通常年間枠65,000件に対し、まだ46,000件しか移民局は正式に受け付けておりません(別途20,000件の修士号特別年間枠がありますが、こちらもまだ受付を続けております)。近年の膨大な申請数とランダムセレクションの実施を考えれば驚くべき状況です。更に、ここ数ヶ月この申請受付の数にも大きな変化はありません。このことからも悪化している現経済状況がいかにH-1B申請に影響しているか、また企業側には雇用ポジションがないかが如実に伺えます。
H-1Bに関して別の問題として最近挙げられるのが、提出した申請書に対して移民局がRFE(追加情報や追加資料の要求)を行うケースが非常に増えているということです。つまり審査が厳格化しているとも言え、この現状はH-1Bに限らず他の就労ビザに対しても同様のことが言えます。特にITコンサルティング会社が会社以外の場所で専門職の従業員を雇う場合のRFEの数の多さは顕著です。移民局はその従業員が実際にどこで働くのか知りたがっているのです。
更にH-1Bに関する企業への直接の監査調査が増えているという点も最近の傾向の一つです。オバマ新政権のもと、米国労働省秘書官も新しくなり、今後労働局によるH-1Bに関する監査調査が更に増えることが予想されます。労働局の捜査課の規模は現在の3割以上増えるとも言われ、I-9監査同様、労働局も違反に対して具体的に刑事訴追の動きが進み、実際に原因となるH-1B申請が詐欺であったことなどを理由にH-1B会社に対する刑事訴訟も明らかに目に付くようになりました。繰り返しますが、まさに我々は移民局(CIS)、移民関税執行局(ICE)、労働局(DOL)をはじめとする強化された監査調査の真っ只中にいると言えるのです。
更にひどい状況として、ICEによる刑事制裁があげられます。例えば2009年1月22日、連邦政府はアイオア州にあるコンサルティング会社Vision Systems Group, Incに対して10項目に関する刑事訴訟を行いました。そのうちの1項目が陰謀罪、8項目が郵送詐欺罪、そして残りの1項目が$7.4 millionに及ぶ罰金です。この刑事訴訟においてICEはVision Systemsはビザ申請のため虚偽の説明や偽造書類を提出したと主張しました。それら虚偽申請書類の中には虚偽の就労場所を記載したLCAの提出、コンサルタントとして申請書にはない第3機関で就労するという説明がないままの申請書の提出、実際にはアイオア州以外の州で就労するにもかかわらずアイオア州の平均賃金を使用して認証を受けたLCAの提出、従業員の自宅住所を偽って記載した申請書類の提出、そして実際の従業員数よりも多くの従業員をアイオア州で雇用していると偽って提出した四半期報告書の提出などが含まれています。
更にこの1月の刑事訴訟に続いて、2009年2月11日、Vision Systemsによる疑わしいH-1B詐欺、郵送詐欺、陰謀に対する政府の更なる捜査の一環として、ICE捜査官は全米7州において11人を逮捕しました。  (次回へ続く)
弁護士 デビッド・シンデル
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