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2010/04/13
Vol.195  移民局による会社査察に対して備えておくべきこと

その1
シンデル法律事務所では、最近広く実施されている移民局による突然の会社査察について日系企業から多くの報告を受けています。そこで今回皆さんに、現在、主にH-1Bスポンサー会社に対して実施されている移民局による会社査察の現状及びその会社査察に対して会社はどのような備えをしておくべきかについて全4回にわたって解説致します。ここ最近、移民局はマンハッタンのミッドタウンに拠点を置く会社を中心に査察を行っており、弊社ではそれら査察を受けた会社から様々な報告を受けております。

昨年移民局により実施された調査報告によると、H-1Bビザ申請の5ケースに1ケースが、H-1Bプログラムに対し詐欺または手法上の違反(technical violations)があったということで、この調査結果が今日の会社査察の増加につながっているものと考えられます。ここで言う手法上の違反とは後で紹介するH-1Bパブリックアクセスファイルの保管義務に関する違反やLCA(H-1B申請に必要な労働条件申請書で会社内での掲載日の情報を別途含むもの)の社内不通知などが該当します。ただこの会社査察の増加の背景にどのような事情があろうとも、H-1Bビザをスポンサーしている会社に対する移民局による突然の会社査察が増えているという事実には疑いの余地はありません。

最近目に付く移民局によるこの突然の会社査察ですが、実際に移民局に提出されたH-1B申請書に記載された通りにそのH-1B従業員がスポンサー会社で就労しているか、また記載通りの就労を行っているかを査察を通して確認するためで、移民局は民間業者と契約をし、その民間業者から査察員を会社査察のために派遣している場合もあります。そのような査察員はビザを申請したスポンサー会社及びH-1B従業員の身元を確認するために作成された質問シートを手に突然会社査察に訪れ、会社及びH-1B従業員がH-1Bプログラムの雇用条件に従った雇用を行っているかを確認します。

その事前の通達もない突然の会社査察の目的は明らかで、H-1Bプログラムの乱用と詐欺を見つけ出すことです。移民局によると違法行為は手法上の違反から明白な詐欺行為に至るまで様々で、中でも最も多い違反はH-1B申請の際にH-1B従業員に支払うと誓約した平均賃金額以上の給与を会社側がH-1B従業員に支払っていないとう違反です。

そこで一つの議論が発生するのですが、最低限の研修を受けただけの外部民間企業からの査察員による会社査察に対し、現在我々が新規H-1B申請ケースに対して申請費用の一部として移民局に支払っている$500の詐欺防止費用(Fraud Fee)が妥当なものかどうかという点です。これは議論の分かれるところでしょう。

(次回に続く)
弁護士 デビッド・シンデル
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