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2010/05/04
Vol.197  移民局による会社査察に対して備えておくべきこと

その3
前回に引き続き、最近広く実施されている移民局による突然の会社査察について解説します。前回は弊社が受けた会社査察の報告に基づいて実際どのようなやり取りがあったかを簡単に解説いたしました。

査察員は何の前触れも無く突然オフィスを訪れ、特定のH-1B従業員に関する情報、及び会社の基本情報、そして会社のH-1B従業員雇用状況等を尋ねたそうです。報告によると、その査察時間は短いもので、質問そのものは決して難しいものではなかったそうです。今回の報告では、その会社は何とか査察を克服できたと感じており、実際査察官はとても親切で、プロフェッショナルだったということです。更に査察員はこの査察は突然の訪問が基本となっているとも告げたそうです。

追加ですが、査察対象となった会社の対象H-1B従業員は査察員に対して自分が無作為に査察対象として選ばれたのかどうか尋ねたそうですが、それに対し査察員はそうではないと答えたそうです。つまりこのことからも査察員は特定のH-1B従業員を対象としながらも会社全体としてH-1B従業員の雇用状況を確認していると推測できます。

それら査察の後、査察員は報告書を移民局に提出するのですが、例えば会社が存在しない、H-1B従業員が適切な給与を受けていない、またH-1B申請書で誓約した職務内容とは異なる職務についている等、何らかの問題が見つかれば、その会社はICE(移民関税執行局)や労働局などからの更なる監査調査の対象となるでしょう。そして実際に違反や詐欺が発覚すれば罰金、またもっと悪質だと判断されれば刑事処分が課せられることになるでしょう。そのような状況で、追加の厳しい監査調査の対象とるような会社は、必然的にパブリックアクセスファイルなどの必要書類の準備が明らかに必要となるでしょう。そのような状況で、もしそれら必要書類が準備できない場合の結果は言うまでもありません。

これら報告からも分かる通り、私達弁護士としてはそれに対して様々に対応しなければならない問題が多く存在します。これら会社査察は単にH-1Bプログラムを乱用している雇用主や従業員を見つけ出すことを主な目的としているわけではなく、むしろ民間業者を通すことで移民局だけでは不可能なできる限り多くの査察を行うことを目的としているとも言えます。

(次回に続く)
弁護士 デビッド・シンデル
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