アメリカ求人サイト「プロックスJ」を活用して、アメリカ就職・転職の勝ち組になろう!

アメリカ求人アイコン ビザアドバイス

2010/05/18
Vol.198  移民局による会社査察に対して備えておくべきこと

その4
テーマの最終回となりますが、前回までお伝えしました通り、各会社は移民局や労働局による監査調査に備えてパブリックアクセスファイルを準備しておく必要があります。H-1Bをスポンサーする会社は申請したH-1Bが認可され、H-1Bによる雇用が始まる前にパブリックアクセスファイルを用意する必要があります。パブリックアクセスファイルとして保管しておくべき主な資料は次の通りです(従業員の大多数がH-1B保持者である会社は行った求人活動の情報など別途必要書類あり)。

- 認可されたLCA(労働条件申請書)のコピー
- LCAにより認可されたH-1B従業員へ支払うべき賃金額についての説明(その賃金情報は最新の有効なもので、変更されていたら更新された情報を使用しなければなりません)
- 実際に支払っている賃金システムについての説明
- 平均賃金額に関する書類のコピー
- 雇用するH-1B従業員に対して申請したLCAの社内告知に関する書類のコピー (その書類にはいつLCAを社内告知したか、また社内のどこで告知がなされたかを明記していなければなりません)
- 認可されたLCAのコピーを、その就労前にH-1B従業員に提供したことが確認できる証拠書類
- H-1B従業員と同じ職業に区分されるアメリカ人及び当該H-1B従業員に対して提供されるベネフィット及びそのベネフィットの選択がそれら従業員によって行われたことの概要説明
- 全ての従業員が同じベネフィットを受けていない場合、その違いについての説明
- 一部または全てのH-1B従業員が自国でベネフィットを受けている場合、そのベネフィットに関する説明

もしH-1Bで就労している会社が合併など会社再編があった場合、その会社は実際に会社再編が行われる前に専門の移民法弁護士等にアドバイスを求め、どのようにH-1Bパブリックアクセスファイルを更新させるか、また会社再編に応じて労働局や移民局に申請すべき書類があるかどうか確認をすべきでしょう。

更にH-1B従業員の職務内容や雇用条件、給与額などに変更がある場合、新しい情報をパブリックアクセスファイルに追加する必要があります。各従業員に対し、H-1B規定上で必要とされる重大な変更があれば労働局や移民局に対して全く新規に申請書を出すか、修正申請を行うかなどの対応をしなければなりません。その場合、H-1Bスポンサー会社はH-1B従業員の雇用条件が変わる前に専門の移民法弁護士等に相談し、正当な対応を行うよう相談すべきでしょう。

繰り返しますが、H-1B従業員の賃金、就労場所、また会社の事業内容の変更などH-1B上重大な変更は既存のH-1Bによる雇用に影響を及ぼすこととなり、必然的にパブリックアクセスファイルの更新も必要となります。私は普段からお客様に何か事が起こる前に相談するようにアドバイスしております。そうすることで労働局や移民局に対する申請またパブリックアクセスファイルの更新など事前に適切に対応することができます。

もし皆様の会社でH-1B従業員に対して必要なパブリックアクセスファイルを用意していないということであれば、会社査察が多く行われている現状を考えれば、直ぐにでも準備すべきでしょう。一旦準備が整えば、H-1B問題に対する移民局への対応準備が完了したとも言えます。実際に査察員が来て、ましてやその後の厳しい監査が入ってから準備するのでは遅すぎる、というような明らかなことに関してはここでは詳しく説明は致しません。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/