ビザアドバイス
2003/03/03
vol.22 移民法ニュース
●AGE OUT規定の変更
現行法の下では、アメリカ市民の子供として移民ビザを取得したり、両親の申請に同伴して移民ビザを取得したりする資格があるかどうかは、その移民ビザ申請が認可された時点での子供の年齢が判断のポイントとなっていました。しかし、近年の、申請件数の増加による審査期間の大幅な遅れによって、INSの審査期間中に21才に到達してしまい、ビザを取得できない(AGE OUT)と言うケースが多発していました。認可が下りる前にAGE OUTしまった子供は、家族ベースの移民ビザ申請における直系家族(immediate relative)とみなされなくなってしまうため、両親の申請に同伴してグリーンカードを取得することができなくなってしまいます。こういった場合、その子供の移民ビザ申請は、21歳以上の子という優先度の低いカテゴリーに自動的に廻されるか、もしくは、新たなカテゴリーでの申請を再提出するよう求められ、結果として、何年間も審査を待たなければならなくなり、場合によっては、移民ビザを取得できないということも起こり得ます。
このたび新たに導入される「子供のステータス保護法」では、アメリカ市民の未婚の子供について、「21歳以下のImmediate Relative Child」とみなされるか否かは、申請が認可された時点ではなく、I-130(家族ベースの永住権申請)が提出された時点の年齢を基準に判断してもらえることになります。したがって、もうすぐ21歳に到達するお子さんがいらっしゃる場合でも、21歳に到達する前に移民ビザ申請を行えば、AGE OUTを心配する必要はなくなりました。
また、今回の新法は、「親の移民ビザ申請に同伴申請もしくは追加申請(Following To Join)する子供に関しては、ビザが取得可能(Available)になった時点の年齢によって判断されるが、その時点から1年以内に永住権申請を行うことが条件」と、規定しています。
ビザがAvailableとは、何を意味しているのでしょうか? 現時点では、この「子供のステータス保護法」に関してはまだ、公式の解釈が出されていませんので、今回は、私個人の条文解釈を述べさせていただきます。従いまして、以下に述べる事項は、移民局の正式な見解ではないことをあらかじめご了承ください。
130(家族ベースの永住権申請)やI-140(雇用ベースの永住権申請)が移民局に認可されると、日本人の場合、国ごとの永住権発給枠の制限が有りませんので、認可された時点で、ビザが取得可能な状態(Available)になります。したがって、今回の新法で言うところの、ビザ申請が取得可能(Available)になった時点とは、I-140ならばpriority dateを、I-130ならば移民ビザ申請日を意味することになるでしょう。
親が、労働許可を取得して雇用ベースの永住権申請を行っている場合、priority dateとは、労働許可を申請した日を意味しています。例えば、労働局へ労働許可申請を2001年5月1日に提出し、2002年4月1日に労働許可が認可されて、移民局へI-140を申請したのが2002年7月1日、移民ビザ申請が認可されたのが2002年11月1日だとします。この場合、まず問題となるのが、2001年5月1日の時点で国ごとビザ発給枠制限にかかっていなかったか、つまりその時点でビザがAvailableであったかどうか、です。日本人の場合、制限にかかりませんので、Availableであったことになり、この新法案の利益を享受することができます。I-130や最優先カテゴリーの雇用ベース永住権申請(EB1)の場合、priority dateは移民ビザ申請の日を意味します。ですから、移民局に永住権申請を2002年5月1日に行った場合には、その申請日がpriority dateです。現行法下では、AOS(永住権へのステータス変更)の時点で21歳以下でなければAGE OUTしてしまうことになっています。ですから、今回の「子供のステータス保護法」によって、多くの家族が救われることになるでしょう。
弁護士・デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/
http://www.swlgpc.com/