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2010/07/06
Vol.201  移民局による会社査察に対して備えておくべきこと その3

前回までに引き続き、移民局による予告なしの突然の会社査察についての特にH-1Bビザをスポンサーしている会社の心構えをお伝えいたします。

実際会社査察ではH-1Bでの雇用及びスポンサー会社の実態確認が行われ、その後、査察員は報告書を移民局に提出します。例えば会社が存在しない、H-1B従業員が適切な給与を受けていない、またH-1B申請書で誓約した職務内容とは異なる職務についている等、何らかの問題が見つかれば、その会社はICE(移民関税執行局)や労働局などからの更なる監査調査の対象となるでしょう。そして実際に違反や詐欺が発覚すれば罰金、またもっと悪質だと判断されれば刑事処分が課せられることになるでしょう。そのような状況で、追加の厳しい監査調査の対象とるような会社は、必然的にパブリックアクセスファイルなどの必要書類の準備が明らかに必要となるでしょう。そのような状況で、もしそれら必要書類が準備できない場合の結果は言うまでもありません。

これら報告からも分かる通り、私達法律を扱う立場とすれば、それに対して様々に対応しなければならない問題が多く存在します。これら会社査察は単にH-1Bプログラムを乱用している雇用主や従業員を見つけ出すことを主な目的としているわけではなく、むしろ民間業者を通すことで移民局だけでは不可能なできる限り多くの査察を行うことを目的としているとも言えます。

先述の通り、各会社は移民局や労働局による監査調査に備えてパブリックアクセスファイルを準備しておく必要があります。H-1Bをスポンサーする会社は申請したH-1Bが認可され、H-1Bによる雇用が始まる前にパブリックアクセスファイルを用意する必要があります。パブリックアクセスファイルとして保管しておくべき主な資料は次の通りです(従業員の大多数がH-1B保持者である会社は行った求人活動の情報など別途必要書類あり)。

- 認可されたLCA(労働条件申請書)のコピー
- LCAにより認可されたH-1B従業員へ支払うべき賃金額についての説明(その賃金情報は最新の有効なもので、変更されていたら更新された情報を使用しなければなりません)
- 実際に支払っている賃金システムについての説明
- 平均賃金額に関する書類のコピー
- 雇用するH-1B従業員に対して申請したLCAの社内告知に関する書類のコピー (その書類にはいつLCAを社内告知したか、また社内のどこで告知がなされたかを明記していなければなりません)
- 認可されたLCAのコピーを、その就労前にH-1B従業員に提供したことが確認できる証拠書類
- H-1B従業員と同じ職業に区分されるアメリカ人及び当該H-1B従業員に対して提供されるベネフィット及びそのベネフィットの選択がそれら従業員によって行われたことの概要説明
- 全ての従業員が同じベネフィットを受けていない場合、その違いについての説明
- 一部または全てのH-1B従業員が自国でベネフィットを受けている場合、そのベネフィットに関する説明

もしH-1B会社に合併など会社再編がある場合は事前に専門の移民法弁護士等にアドバイスを求め、どのようにH-1Bパブリックアクセスファイルを更新させるか、また会社再編に応じて労働局や移民局に申請すべき書類があるかどうか確認をすべきでしょう。更にH-1B従業員の職務内容や雇用条件、給与額などに変更がある場合、新しい情報をパブリックアクセスファイルに追加する必要があります。各従業員に対し、H-1B規定上で必要とされる重大な変更があれば労働局や移民局に対して全く新規に申請書を出すか、修正申請を行うかなどの対応をしなければなりません。

繰り返しますが、H-1B従業員の賃金、就労場所、また会社の事業内容の変更などH-1B上重大な変更は既存のH-1Bによる雇用に影響を及ぼすこととなり、必然的にパブリックアクセスファイルの更新も必要となります。

もし皆様の会社でH-1B従業員に対して必要なパブリックアクセスファイルを用意していないということであれば、会社査察が多く行われている現状を考えれば、直ぐにでも準備すべきでしょう。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/