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2010/10/19
Vol.208  H-1Bビザ申請に関する政府の厳しい対応 その3

前回に引き続き、移民局より今年発表されたH-1B申請において重要な転機となるメモ(ニューフェルドメモ)について解説します。

前回はH-B申請において、H-1Bスポンサー会社による明確なH-1B従業員の雇用管理体制構築の重要性を具体的にお伝えいたしました。更に今回移民局は自分一人の会社で自分自身のH-1Bビザをスポンサーするケースに対してもメモを通して指針を示しています。

実際、移民局は、会社の唯一の株主は、会社が会社の所有者とは別の法人組織であることから、その唯一の従業員は、その会社によって雇用を受けることができることを認めています。しかし一方でH-1B保持者が、会社の大多数の株式を所有し、自分自身以外に業務報告を行う人物がいない場合、正当な労使関係が存在せず、雇用主の管理業務が証明できないとしています。つまり会社は、会社の大部分を所有する人物を従業員として雇用し、その従業員のH-1B申請を検討することは正当である一方で、このことは自動的に正当な労使関係が成り立っていないことも意味しています。

このことから現時点でシンデル法律事務所では、基本的に、会社が一人の株主によって所有され、その所有者のH-1B申請を行う場合、その申請は却下となる一方、H-1B従業員が数ある株主の一人で、会社の株の大多数を所有しておらず、かつ、その会社が一人の従業員のみの会社ではない場合、申請は認可される可能性はあると解釈します。

つまり今後、特に小規模の会社において、会社の唯一の株主である従業員に対するH-1B申請は、ほぼ認可が不可能な大変難しいケースになるということです。更に従業員が会社の唯一の役員である場合も同様に移民局は難色を示す可能性もあるでしょう。このことは明らかに新しい審査規定で、既に該当する状況でH-1Bを取得した方は、次回の延長では、同じ条件のままでは延長が認められない可能性があると考えております。
更に移民局は契約社員に対するH-1Bビザについてもメモを通して言及しており、H-1Bをスポンサーしている会社が、H-1B従業員に対する一切の管理を行わない場合や、Form W-2ではなくForm 1099を基に給与が支払われる契約従業員に対するH-1B認可も認めないとしております。

また第3機関への派遣( "ジョブショップ")についても言及があり、例えばH-1Bの雇用が会社外地でのクライアントの業務遂行のために自社のH-1B専門スタッフをクライアント会社へ派遣する場合を例に挙げます。もしその特定の専門的ポジションについて会社間に特定の契約はなく、H-1B雇用主が当従業員の業務を管理せず、評価も行わない、またその業務に自社特有の情報や手法は一切使われず、更に当従業員が最終的に生み出すサービスはH-1B雇用主の本業とはかけ離れている場合などは、H-1B取得は大変難しいものになることが予想されます。また人材派遣業に関しても同様で、第3機関にH-1B従業員を派遣している人材派遣会社は、H-1B従業員をスポンサーする会社として、今後はこれまでのように派遣という形でH-1Bビザを申請することができなくなるでしょう。今後、人材派遣業者によって認められる唯一のH-1B申請は、派遣先の業務内容が異なることからも、自社内でのポジションに対して、ということになります。

一方でこのメモが発行されたことにより良い点もあります。現在、インド人を中心にこのジョブショップによるH-1B従業員の人材派遣が多用されているのですが、このメモを受け、今後そのような派遣は減り、より多くのH-1Bビザが通常のH-1B従業員に対して使われることとなるでしょう。

(次回に続く)
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/