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2011/01/04
Vol.213  H-1B申請をとりまく厳しい現状

前回、前々回とH-1B申請及びH-1B保持者を取り巻く環境が厳しくなっている旨を紹介しました。それはH-1B申請の厳しさそのものもそうですが、無事取得できた後においても、政府による監査や、アメリカ入国の際の入国審査の厳格さなど、現在では多岐に渡ります。最近のこの過剰とも言えるH-1Bビザに対する政府の対応はH-1Bに関する関連規制を主に取扱っている労働局もそうですが、移民局、税関国境警備局、及び州による実施が目に付きます。
例えば、アメリカには数多くの外国人ITコンサルタントがH-1B保持者としてアメリカにやってきます。とりわけ、それらITに関わる会社やH-1B保持者に対して政府は特に目をつけています。彼らの多くは、高学歴で、専門能力があり、かつ業界でも社会的地位が高いという事実があることから、問題視されるべきではないと考えるのが一般的でしょう。しかし、それらITコンサルタントを抱えるH-1Bスポンサー会社が、移民法に関する企業コンプライアンスを行っていないとすれば、そのITビジネスという業界的立場からも、政府による捜査対象となり易く、従業員のビザ取得及びその維持に対しては大変不利な事態に陥っています。従って関連するIT企業は今後アメリカでのビジネス活動に生き残りをかける上でも、しっかりとしたビジネスモデルが必要となります。
一方で、ITコンサルタント業界での不当な雇用が存在するのも事実です。それに伴い労働局はそれら詐欺による雇用を通してビジネス活動している企業に対し厳しく取り締まる規則を既に施行しています。給与を支払うことなく従業員を雇用したり、就労地域の平均賃金以下の給与を支払ったり、労働局への申請上はカバーされていない勤務地で長い期間就労させたり、というような不当雇用は違反行為の中でも良く耳にするケースで、それらは労働局によって既に取締りが実施されているのです。
仮に企業が不当な賃金や就労時間に基づいた雇用を行った場合、規則に則り労働局は監査調査を行います。しかし全ての業界の全ての企業に対して監査調査を行い、全ての違反を見つけ出すことは不可能なのです。今日発表されている統計データから、一人のH-1B従業員の雇用に対して新たに5人の雇用が生まれるという事実があります。今後H-1Bに対する取締りが強化されれば、これら波及して生まれる雇用も見込めなくなるばかりか、H-1B保持者とアメリカ人労働者との知識の共有も失われてしまいます。
現在のH-1Bに対する厳しい取り締まりは、特に将来性のあるテクノロジー系の業界で新たにビジネスを行おうとしている新会社や中小企業にとっては逆風となっており、長い目で見ると、アメリカ経済にとってはマイナスでしょう。更にアメリカの現状況は世界の同盟国への不満にもつながっています。アメリカとも親しい関係を持つインドでは既にアメリカ人を初め、外国人に対する就労ビザに対する規制を開始しました。つまりアメリカでの外国人に対する厳しい取り締まりの一番の犠牲となっているインドで逆にアメリカ人就労者が同様の犠牲を受けているということです。
未だアメリカでは多くの外国人留学生が勉学に励んでいます。アメリカでの就労許可が下りにくくなっている現在、彼等はアメリカ国外での就労を試みることとなり、結果、このままではアメリカの国力低下につながる可能性があることは決して否めません。
弁護士 デビッド・シンデル
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