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2014/05/20
Vol.294  同性結婚に基づくビザの取得(その2)

前回お伝えの通り、結婚防衛法(DOMA: 結婚は異性間において成り立つと定めた連邦法)は憲法違反であるという最高裁の判決を受けたことで、今後、同性結婚の夫婦に対するグリーンカード発行が現実的なものとなり、移民法の見解も大きく変わっていきます。

さて今回、DOMAの却下と供にグリーンカード以外の移民法に関する以下のベネフィットも認められることになりました。

• H-1BやLビザなど非移民ビザ保持者の配偶者ビザ
• 強制送還や再入国拒否され、アメリカ国外に滞在している方へのハードシップウェイバー(パートナーがアメリカにいる一方で、家族のつながりを第一に特定の理由と証拠を提出する事でアメリカへの入国を特別に認めてもらう制度)
• 現在アメリカ国内にいる対象者の強制送還等の見直し
• その他現在アメリカ人配偶者が受け取っている移民法に関するベネフィット

既に移民局のウェブサイトに「移民法に関するベネフィット(非移民ビザや永住権の取得等)の受給資格が結婚や配偶者のステータスに基づいての申請の場合、異性結婚も同性結婚も同様に扱う」ということを明確にしたFAQが公表されました。

同性結婚が認められずアメリカ人のパートナーから引き裂かれた方や家族がバラバラになるのを防ぐため自らアメリカを去った方も、これからは連邦政府に認められた家族として戻る事も可能になり、無理矢理引き裂かれる心配がなくなることでしょう。

しかしながら、これで同性結婚カップルに対して完全なる平等な権利が与えられた訳ではありません。まず現在アメリカで同性結婚を認めている州はカリフォルニア、コネチカット、デラウェア、アイオワ、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ミネソタ、ニューハンプシャー、ニューヨーク、ロードアイランド、バーモント、ワシントンの13州とワシントンD.C.しかありません。この13州かワシントンD.C.に住んでいないカップルや結婚証明書を取得する為に必要な期間中だけの滞在が不可能なカップルは同性結婚そのものが難しいのです。更に同性婚が認められている州で結婚したとしても居住州が違う場合の対応等様々な点で移民局は明確な態度を示していません。従って現時点でビザやグリーンカード申請を行うのに最適なシナリオは、同性結婚を認めている13州又はワシントンD.C.からの結婚証明書とともに、各13州又はワシントンD.C.に居住地がある状況での申請という事になるでしょう。

更に、現状、同性結婚に基づいた移民申請が異性婚に基づいた移民申請より簡単に審査される事はないと考えても良いでしょう。当然の事ながら申請上、特にパートナーの永住権申請では、異性婚カップルと同様に 結婚が正当なものである事を証明しなければなりません。結婚証明書はもちろん、共同借地権や所有物の共同所有権、共同の銀行口座、家族や友人からの宣誓供述書や結婚式、新婚旅行の写真など様々な証拠資料を提出する必要があります。しかし共同借地権や共同所有権などは同性婚カップルにとってまだ入手不可能な場合が多いとも聞いています。例え同性結婚が連邦法で認められていても様々な偏見などはまだまだ完全には消えないという側面が存在する事も事実でしょう。

同性のカップルに平等の権利を獲得する戦いはまだまだ先が長いですが、今回の判決に対するオバマ大統領の素早い対応は、今後政府が同性結婚そのものを前向きに捉え、前向きに進んでいく証拠だとも言えるでしょう。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com