ビザアドバイス
2014/07/01
Vol.297 ビザに関わるアメリカ政府の仕組みについて
アメリカの今年度の予算が成立しなかったことにより、一部アメリカ政府機関が閉鎖状況となったことは記憶に新しいところですが、実際、移民法を取り扱う弊社でも、例えばアメリカ労働局が閉鎖状態となったことで、労働局が関わる申請が行えないなど大変不憫な状態が続いていました。そこで、今回はビザに関わるアメリカ政府の仕組みについて簡単に紹介したいと思います。
ビザ(アメリカ移民法)に関わる主な政府機関は次の通りです。
- 国土安全保障省(US Department of Homeland Security)
米国移民局(US Citizenship & Immigration Service)
国境警備局(Customs & Boarder Protection)
移民関税執行局(Immigration & Custom Enforcement)
- 国務省(Department of State)
- 労働省(Department of Labor)
国土安全保障省は去る9.11米国同時多発テロを受けて設けられた新しい省であり、現在では米国移民局、国境警備局、移民関税執行局などが当省のもとで米国の国土安全管理業務を担っています。その中でも良く耳にするのが米国移民局(USCIS)と呼ばれる機関で、米国における外国人向けの就労ビザや永住権、市民権申請の審査及び発給業務を米国移民法に基づいて行っています。一方、空路・陸路等にて米国に入国する際、国境で最終入国審査業務を担っているのが国境警備局(CBP)です。また移民関税執行局(ICE)においては米国内に不法に滞在する不法就労者の雇用に対する取締りを行っており、最近ではICEによる企業及び不法就労者に対する調査や強制捜査、また逮捕などその活動の増加が非常に目に付きます。
皆さんがパスポートに貼り付けられるビザ査証を取得する際、日本やカナダなどにある米国大使館や米国領事館にて面接を受けることになりますが、それら機関は、国務省(DOS)に所属します。DOS管轄の主なビザとしてはF-1、J-1、Eビザ等があり、それらビザはUSCISの許可無く直接DOSを通してのビザ取得が可能となるビザです。また一部永住権申請の最終審査もこれら機関を通して可能となっています。
最後の労働省(通称、労働局)ですが、H-1BやH-2Bビザ申請時の労働条件査定及びその認可(LCA)、また雇用を通してのグリーンカード申請における労働証明申請審査(PERM)およびその認可があります。最近では労働局による企業への合法的雇用に関する監査も目立ち始めています。
以上、大まかですが、アメリカのビザに関わる政府機関及びその役割です。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com
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