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2014/08/19
Vol.300  最近の気になる移民法関連ニュース(その3)

前回、前々回に引き続き、移民法に関わる会社による不当な雇用管理に対する政府の対応について紹介します。

これまで、会社側の不当雇用、そして正しく施行されていないI-9管理についていくつか例を取り上げて紹介してきました。その中でも多く見受けられる誤りの一つに、雇用側がI-9(I-9の詳しい説明は前回の記事をご確認ください)のプロセスで新規従業員に対して提出してもらうべき身分証を会社側が勝手に決めるケース(法律上、会社は新規従業員が提示する資料(就労許可証や永住権等の身分証)を基に就労資格を判断しなければならず、会社が提出すべき身分証を指定し提出を求める事は出来ない)で、就労資格の誤った判断も含め、会社が正しくI-9プロセスを遂行しない場合、多額の支払い命令が発生する等、結果として会社に多大な悪影響を及ぼすことになります。このことからも移民法弁護士などにより、しっかりとI-9トレーニングを受けていれば、このようなケースは避けられたことでしょう。

このように不法就労者の故意の雇用からI-9プロセスの不当な遂行まで様々な例が報告されておりますが、それを裏付ける形として、政府による会社への突然の査察も会社の規模に関係なく頻繁に行われています。最近の一つの例ですが、ある小規模の会社(従業員41名)の会社に、入国管理や税関等を監視するアメリカ国土安全保障省の一局である移民・関税執行局(ICE)による査察が入りました。ICEは、会社が全従業員のうち18名に対し、本来行うべき雇用のタイミングでI-9プロセスを行わず、他に2つの違反があったと判断しました。ICEの分析によると、この会社のI-9フォーム記入上の誤った記載率が49%(違反ごとに770ドルの罰金)でした。

ただ、当会社は、従業員が少ないことに加え、損失も多く、また不法就労者の雇用も無く、今回が初めての違反ということから、首席行政聴聞官室(OCAHO)により最終的に14,630ドルの交渉罰金額が提案されました。この事から、過去に違反暦がない会社など、特定の事情に対してOCAHOは、交渉を認める場合もあります。今回のケースに関しては、ICEが既に会社へ3年間の支払いプランの交渉を行ったので、OCAHOは3年間の間に全額を支払うか、一括で10,500ドルを支払うかの選択肢を与えております。この背景には、現在、移民法関連の違反数が増えていることがあり、より確実に罰金を回収すべくICEも実用的な支払いプラン等の柔軟な対応を取っているようです。

弊社ではこれまで幾度となく政府による会社査察に関する記事を提供し、読者の皆様に警告してきましたが、その現状は今でも変わる事無く、むしろ政府の対応はより厳しくなっていると言えるでしょう。違反した会社に対する罰金や判決も厳しくなっている中、会社にとって最も重要なことは移民法に関するコンプライアンスをしっかり整えるということです。I-9など一見単純作業にも思えますが、非常に奥が深いフォームの一つで、一つの間違いが重大な違反へと判断される要因ともなりますので、より注意深く対応する事が重要です。
弁護士 デビッド・シンデル
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