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2016/04/04
Vol.322  2016年移民法の行方

2016年4月から受付開始される新規H-1B (2017年度)申請について、2016年も近年同様、抽選となることは疑いのないことでしょう。先日オバマ大統領は、L-1またH-1Bを持つ従業員の割合が会社全体の少なくとも50%を占める会社からの申請費用(通常の$325申請費用、トレーニング費、Fraud費に加えて必要とされる申請費用の一つで、それら割合が50%に至らない会社は対象外)を50%値上げすることに署名したものの、多くの会社が対象外の会社からの申請であることから、新規H-1B申請者の数が減ることの打開策とはなり得ないでしょう。
アメリカにおいて急激に拡大しているIT産業を背景に、関連する会社からのH-1B申請は増えることが予想されています。数学、科学、エンジニアリング等を専攻としたアメリカの学位を取得した留学生(特にインド人や中国人)の多くは引き続きアメリカに滞在しアメリカでの仕事を希望していることから、そのこともまた新規H-1Bの申請数を増やす決定的要因ともなっています。
一方、アメリカで学位を取得した多くの海外留学生が、このH-1B年間発給枠に伴う抽選の実施が要因で、卒業後H-1Bにてアメリカで就労したくとも実現せず、自国への帰国を余儀なくされている現状もあります。
また2016年はH-1B及L-1保持者に対する会社への監査訪問が引き続き実施され、その実施数は増えることも予想されています。
更に、カリフォルニア州サンバーナディーノ郡でのテロによる銃乱射事件を受け、ビザウエーバープログラムを使ってのアメリカ入国がより厳格化されることでしょう。結果、Bビザなどの非移民ビザの取得が求められるケースが増え、アメリカ大使館でのビザ取得までにかかる時間が長くなることが予想されます。
2016年はアメリカ大統領選挙の年でもあることから移民関連事項は重要視されることでしょう。例えばドナルドトランプ氏が掲げるように、事実、移民問題が選挙のキャンペーンとしても利用されています。今後の選挙運動の内容には注目したいところです。これら移民法を良い方向へ導く可能性を秘めたキャンペーンが繰り広げられる一方、実態とすれば、移民法にとってあまり好ましくない法案があることも否めません。


弁護士 デビッド・シンデル
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