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2003/03/03
vol.3  曖昧なH-1b諸規定

H-1b労働者解雇後の、帰国用渡航費用の支払いに関して
法律上では、H-1b労働者を解雇した場合、雇用主は、その従業員の帰国用渡航費用を支払わなければならないことになっています。しかし、この雇用主側の責務に関して、移民局側は統一的な法解釈を提示できないままで、明確な運用ガイドラインも規定されていません。従って、この雇用主側の責任自体が曖昧なものとなってしまっています。
1999年7月26日には、移民局側は、この雇用主の責務について、雇用主・労働者間の個人同士の契約債務にすぎないとし、渡航費用に関しての支払い責任への当局の関わりに対して、消極的な姿勢を示しています。
ちなみに、解雇された従業員が新しい雇用先を見つけた場合には、前雇用主側の渡航費用負担義務は消滅します。
レイオフ後の給与の支払い義務について
H-1b規定の中に、「レイオフ後、雇用主側は、H-1b労働者に給与を支払わなければならない」というものがあります。
これも、当局側による法解釈・運用ガイドラインが明確に示されていないため非常に「曖昧な」規定になってしまっているものの一つです。労働局は、当初、解雇後、の移民局への「雇用修了通知」がなければ、合法的な解雇とはいえず、このような移民局への通知を行わない限りは、H-1b労働者に対しての給与支払い義務が存続しつづける、という解釈をおこなっていました。しかし、この解釈は、移民法弁護士学会により批判を受たため、労働局側はこの解釈を撤回し、雇用主の給与支払い義務は、雇用関係の終了時に消滅する、との学会側の解釈に賛成しました。この雇用関係の修了は、書面による解雇通知などによって証明される、とされています。
しかし、最近になって、2001年3月21日に、移民局側は、次のような方針を示しました。「現在、移民局の規則では、雇用主は、H-1b従業員を解雇した際に、解雇時にH-1bステータスを無効にするための通告を移民局に行わなければならないという規定は設けられていません。実際には、多くの雇用主が移民局に対して、自主的にこの解雇の通告をおこなっており、局側としても、できるだけこうした通告を行ってもらえるよう願っています。」
現段階では、雇用主側は、INSに通告してH-1bを無効にすることよりも、実際の雇用の終了を証明するための書面をきちんと確保することに注意を払うべきであるようです。
「10日間」神話
レイオフされたH-1b労働者が解雇後合法的にアメリカに滞在できる期間(グレースピリオド)を認めるか否かについて、移民局側は、明確な解釈を示していません。この問題については、これまで当局から様々な報告が行われてきましたが、各報告には大きな法解釈上の相違があり、当局としての統一的見解は打ち出されていません。
たとえば、ある通信社に対し移民局は、「解雇後10日以内に新しい雇用主を見つけた場合には、その労働者は米国に滞在・就労を続けることができる」と発表しました。この記事は、ホームページwww.wired.com/news/politics/0,1283,42439,00.htmlで読むことが出来ます。
これに対し、2001年4月2日の78 Interp. Rel.608号で報告されているように、移民局高官Efren Hernandez氏は通信文の中でグレースピリオドの存在をきっぱりと否定しています。
この件に関しての最近の報告では、2001年6月19日の移民局からの公式書簡に、次のように書かれています。「現行法下では、グレースピリオドは存在しないが、当局側もH-1bにもグレースピリオドを認めるべきだと考えており、将来的に60日間程度のグレースピリオドを設けたい」(Interp. Rel. 1109, July 2, 2001参照)
レイオフされたH-1b労働者の雇用
H-1b労働者がレイオフされた後、新しい雇用先に移るための法的要件は次のように定められています。

1. 非移民として合法的に米国に入国したこと
2. その非移民が以前、H-1bステータスを認可されたこと
3. H-1bで滞在を許可された有効期限がきれる直前に(時間をつなぐための措置として)不正な申請を行っていないこと
4. 非移民として米国に合法的に入国してから、申請を行うまでの間、不法就労に従事していないこと

これらの規定によれば、以前の雇用主から正式な契約解除を受けたか否かにかかわらず、レイオフされた従業員には新しい雇用先へスポンサーを移すことが認められているようですし、また、新しいH-1b申請を行う際に、きちんとH-1bステータスを保持していなければならないと定められているわけでもないようです。
速報
ブッシュ大統領は、1月16日に、2つの新しい法案(H.R. 2277 and H.R.2278)に署名しましたが、これにより、国際企業の駐在員と貿易・投資家の配偶者が米国内で就労しても良いことになりました。
H.R. 2277 (PL 107-124)により、Eビザ保持者の配偶者の就労が認められることになりました。H.R. 2278 (PL 107-125)は、Lビザ保持者の配偶者の就労を認め、また、Lブランケット(*)申請において、米国に派遣される従業員について、これまで申請要件とされてきた「継続的雇用期間」を短縮することを定めています。
Lビザ申請を行うためには、従来、その従業員が、親子関係の有る海外の企業で過去3年間のうち一年間、継続的に雇用されていたことを証明しなければなりませんでした。今回導入された新たな法案によれば、Lブランケット申請では、この期間が1年から6ヶ月に短縮されることになります。
但し、この期間短縮は、Lブランケットのみに認められており、通常のLビザ申請においては、従来のまま、過去3年間のうち1年間の継続的雇用という要件は変わらないようです。
* Lブランケットとは
継続的に多数の Lビザ従業員を必要とする会社に特別に認められた総括的申請制度。会社の規模や過去のLビザ申請者数などが判断の基準になる。Lブランケット申請が認められた企業は、各従業員を派遣する際、移民局を通さず、直接米国大使館で申請を行うことができる。
ビザスタンプ申請用の新しい申請用紙
先日、国務省は、「Supplemental Nonimmigrant Visa Application (DS-157)」と名付けられたあたらしい申請用紙を発表しました。
発表と同時に、16歳から45歳の全ての男性ビザ申請者は、国籍・ビザ申請地にかかわらず、通常の非移民ビザ申請用紙(DS-156)に加えて、このDS-157の記入・提出が義務付けられました。9月11日の米国同時多発テロ事件の影響で、暫定措置として導入されることとなったこのDS-157は、申請者に対して、安全対策に必要な情報の提示を義務付ける為のものです。この情報に基づき、当局側が必要と判断した場合には、security advisory opinion (SAO)を発行することができる、とされています。新たな制度が導入されるまでの間、各国米国大使館では、DS-156に加えてDS-157を提出してビザ発給の審査を仰ぐことになります。
弁護士・デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/