ビザアドバイス
2003/07/07
Vol.40 移民法ニュース:
2003年度移民法会議
2003年度移民法会議
2003年6月18日から22日の間アメリカ移民法弁護士協会(AILA)の2003年度移民法会議が開催されました。多くの経験豊富な弁護士や政府関係者が出席し、私も参加しました。その会議の一部をご報告します。
非移民ビザ申請者との面接
全世界の米国領事館や大使館は、一部の例外を除き、全ての非移民ビザ申請者と面接をするようにとの指示を受けました。その一部の例外とは、申請者が60歳以上の場合およびビザの更新(または再有効化)の場合です。それ以外は全て面接が必要となります。日本に関して言えばこれは大問題です。なぜなら日本は詐欺、不正な申請の非常に少ない国であり、今までほとんどの申請者が面接なしでビザを取得していました。それゆえ、全員面接を行うだけのスタッフや設備が充分に整っていないのです。そしてこれに代わるよい方法はあまりありません。メキシコやカナダはまだ第三国出身者の申請を受け付けていますが、メキシコでは学生ビザからH-1bへの滞在資格変更にはよい顔をしないようです。アリゾナ国境のNogalesでは例外があるようで、カリフォルニアの移民弁護士の間ではここを利用する事がよく行われています。
H-1Bビザ 7年目の申請
H-1Bビザの7年目の申請を行うためには、永住権申請のための労働許可が365日以上ペンディングになっている事が条件です。移民局のメモによると、365日が経過した後でないとH-1Bの延長申請をすることは出来ません。ここにある種の混乱が生じます。例えば労働許可を申請してから365日が経過する前にH-1bビザの期限の6年間が終了してしまう場合、すでに他のビザへの変更の申請を行っているか、出国しているかしない限り、H-1bの期限を超えて滞在すると不法滞在となります。移民局の職員の中には、このような場合―即ち現在H-1Bの資格を持っていない場合―H-1Bの延長を申請することは出来ないと発言する人がいます。しかしながらこれはAC21(21世紀法)に規定されている「外国での延長申請が出来る」という条文に矛盾しています。私は申請者が国外に居てもH-1Bの延長申請は受け付けられるべきであると考えます。また、労働許可書を申請した後その雇用主の許を離れた場合でも、同じ労働許可書を証拠としてH-1Bの7年目の延長申請をすることが出来ます。言い換えれば、雇用主がその外国人を雇用していない(もはやスポンサーではない)という事実があっても、そのことだけで、その労働許可書を使って7年目の延長を申請することが出来ないということにはならないのです。
H-1B資格の取り消し
DOL(労働局)の調査によると、最近の法例は、雇用主がある労働者のH-1Bビザをキャンセルしなかった場合、その労働者を一時的な待機状態にあるだけ(まだこれから雇用する意思有り)とみなされて、その間の給料を支払う義務があるものと判断される可能性があるとのことです。したがって、H-1B保持者を今後雇用しない意思をはっきりさせるためには、移民局に対してH-1bビザの取り下げを通知するのが得策です。
永住権 (PERMプログラムおよびRIR)
以前のニュースでPERM(労働局が今秋導入を予定している審査期間短縮プログラム)についてお知らせしました。このプログラムは労働許可審査の大幅スピードアップを目指して検討されているものです。労働局はまだこのプログラムの最終規則を発表しておらず、どのようなものになるか今のところ不明です。少なくともこれまで検討されている案では、ビジネス上の必要性、即ちその申請するポジションにおいて労働者が不足していることを証明するための特別な要求条件が必要なくなることになっています。また、現在の労働許可書上では一般的な賃金の95%をオファーすればよいことになっていますが、新しいプログラム(案)ではこの95%ルールを廃止することになっています。最終のプログラムはこれと違った形になるかも知れませんので注意が必要です。RIRは依然としてバックログを抱えたままです。最近では、SWA(州労働局)及び労働局は、レイオフの実施の有無を各企業に問い合わせており、アメリカ人の労働者のレイオフがあった場合には、労働許可の取得はほとんど不可能な状況です。もしレイオフを実施する場合は、そのポジションは労働許可を申請しているものと違うことを証明しなければなりません。「一般的な賃金」(Prevailing Wage)についても言及が必要でしょう。皆さんご存知のように、雇用主はそのポジションに対して一般的な賃金を支払わなければならないことになっています。一般的な賃金は、州の労働局、OESの賃金調査、あるいはプライベートな調査を参照していますが、プライベートな調査を使用するための細かい規定があり、それを聞くために州の労働局に連絡を取ることが非常に困難で、実際上はOESの調査に頼ることになります。OESの調査は2種類の賃金レベル、レベル1、レベル2があります。通常は永住権申請のためには労働局が規定している通りレベル2を使用しています。しかしながらレベル2の賃金は通常かなり高く、経済状況を正しく反映しているとは言えません。現在の経済情勢下では、職務の内容を記述する際、レベル1で申請することも意識する必要がありそうです。あなたの弁護士とよく相談することをお勧めします。永住権を申請中で、そのI-140がペンディングになっている労働者が、現在の雇用主から離れた場合(離職した場合)について考えてみましょう。雇用主はペンディングになっているI-140の申請を取り下げて、新しい労働者のためのI-140を申請することが出来ます。ただし職務の内容が同じで、新しい労働者も申請時点でその資格を持っていることが条件です。
シェフのビザについて
シェフがビザ取得を考える場合、いろいろな種類の非移民ビザが利用できます。もしその企業がEビザの資格を満たしているなら専門技術者としてのEビザが申請できます。レストランの規模、シェフの数、それから申請しようとしているシェフの実績などによって、申請できるかどうかの判断が必要です。さらに、O-1ビザなどはどうでしょうか?そのシェフは、経験豊富で、有名な料理店で働いた経験や各種の賞を獲得した事があるなど、高名な料理人でなければなりません。またP-3はどうでしょう。その職が何らかの文化交流に関係がある場合には、取得できる可能性があります。J-1やH-3の可能性もあります。比較的若く、未経験な料理人の場合、あまり長期の在米経験がない人なら、J-1もしくはH-3も検討の対象です。もちろん研修プログラムが用意されていなければなりません。そしてPERM(審査短縮プログラム)が実現すればこんなに素晴らしいことはありません。シェフは一般的に人材が不足している職業であり、PERMプログラムによって労働許可が1ヶ月で認可されるようになれば、これまでのように2年以上掛かっていたのとは大きな違いがあり、永住権の申請もより現実的なものになるというものです。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/
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