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2003/08/04
Vol.42  移民法ニュース:
「BCISが事前認可のパイロットプログラムを導入予定」、「学生ビザの就労問題」

BCISが事前認可のパイロットプログラムを導入予定
先日開催された2003年AILA(アメリカ移民弁護士協会)の年次総会の席上で、BCIS職員がH-1Bに関する事前認可について次の発表を行いました。 I-140に規定されている「一般的賃金」の支払能力のある雇用者のいくつかの専門的職位を事前に認可するプログラムの実験を検討しており、このパイロットプログラムは今年9月にも開始される予定とのことです。

このプログラムの目的は、認可すべきことがはっきりしている申請手続きを簡素化し、いくつもの申請書を出している雇用企業の不必要な二度手間を回避することにあります。BCISは、このプログラムを実験するにあたり、その企業のH-1B申請にかかわってきた期間、年間の申請件数、資本金の額によって、参加させる企業を選別する予定です。BCISは、敷居をかなり高く(例えば、年間の請願件数100件以上など)設定し、実験段階が終わった時点で、この基準を下げる意向です。
学生ビザの就労問題
SEVIS(Student and Exchange Visitor Information System)の実施や、F-1,M-1,J-1の新規則の発表に伴い、学生関連ビザがますます複雑化しています。その中でも特に複雑なのが、学生ビザでの就労の問題です。

学内での就労:

F-1学生が正規に働く方法はいくつかあります。容易なのは学内での就労です。この就労は、文字通りの学内(大学の施設ではないが学校内での仕事-例えばカフェテリアや本屋も含む)または、学外ではあるが大学付属の教育施設での仕事の事です。学内での就労は、授業が行われている間は週20時間に限られ、休日やバケーションの期間に限り、フルタイムの就労が許可されます。SEVISへの入力や移民局への申請は必要ありません。また、自分のコースが終了した学生は、プラクティカルトレーニングの許可を取れた場合以外は、学内での就労は許されません。

プラクティカルトレーニング(PT)には2種類、教育課程のPTとオプショナルPTがあります。教育課程のPT(CPT)とは、教育課程の一部として必要不可欠とされる場合を言います。CPTは学業と仕事を交互に行うもの、インターンシップ、cooperative education (産学協同教育)、その他教育機関と共同プログラムを確立してスポンサー提携をしている企業のインターン制度や実習科目などがあります。

オプショナルPT(OPT)は、教育課程の一部ではなく、最長1年間のフルタイム(または2年間のパート)が許されます。卒業前のOPTは、学業期間中は週20時間のパート(学生が申請すれば、休日、バケーション期間中はフルタイム)が許可され、卒業後はフルタイムの就労が可能です。卒業後のOPTは、卒業後14ヶ月以内で終了しなければなりません。学業中のPTは半分の割合で計算されるので、24ヶ月までの期間が許されます。仕事の内容は、自分の専攻分野に直接関係のある仕事に限定されますが、これ以上の詳しいガイダンスはなく、学生は全般的にかなりの自由度を持つことになります。

新しい規則では、学生がより高度な教育課程に進む場合には、さらにもう一年のOPTが出来るようになりました。例えば、学士号(Bachelor’s Degree)を取得すると1年間のOPTが出来ますが、さらに修士号(Master’s Degree)を取得した場合は、もう1年のOPTの権利が得られます。その上、博士号(Doctor's Degree)課程に進級した場合はさらに1年のOPTが可能となります。但し、転校した場合は、その時点でプラクティカルトレーニングの許可は自動的に終了します。

卒業後のOPTは、学業の完了前に担当職員DSO(Designated Student Official)を通じて申請しなければなりません。卒業後の猶予期間中(Grace Period)の申請は認められません。新しい規則によれば、1学年目以降の夏休みにOPTを行う場合は、少なくとも第1年目が終わる90日前までにOPTの申請を行わなければなりません。OPTの申請は就労開始の120日前に申請することが可能で、移民局はEAD(Employment Authorization Document)申請の審査を90日以内に終了しなければならないことになっています。

移民局のサービスセンターが処理に90日以上かかった場合は、移民局のローカルオフィスで暫定EADを申請することができます。ただしローカルオフィスによって対応がまちまちで、必ずEADを受け取れるとは限りません。

まだ雇用が始まっていない場合であれば、学生はEAD申請を取り下げることが出来ます。申請取り下げの方法もいくつかありますが、通常は学校の担当職員DSOが取り下げ申請をサービスセンターのNAFSAにファックスします。既に雇用が始まってしまった場合は、EADの申請を取り下げても、後日使っていない期間をもう一度申請することが出来なくなります。転校した場合も同様です。また、移民局はEADを申請中の外国人が米国を離れた場合、その申請を放棄したものとみなします。

タックスリターン:

学生が所得申告をする場合の影響について議論する場合、まず税法上の居住者か非居住者のどちらに該当するかを考えなければなりません。

[居住者 vs 非居住者]

居住者として扱われる外国人学生は、アメリカ市民と同様、世界中の所得が課税対象となります。所得申告を毎年行い、所得税を米政府に納入しなければなりません。

一方、非居住者として扱われる学生への課税は、全く違った方法で行われます。非居住者に該当する場合、二つのシステムが適用されます。第一のシステムは、アメリカでの交易、ビジネスに実質的に関係のない所得にかかわるもの。もう一つのシステムは、アメリカでのビジネスに実質的に関係のある所得に関するものです。最初から考えておかなくてはいけないことは、大部分の学生ビザは、賃金や給料を受け取るような仕事に従事することや、ビジネスにかかわる事を禁じているという事実です。にもかかわらず、税法上は、F, J, Mビザで入国した非居住者は、アメリカでの交易、ビジネスに従事することが認められているかのように解されています。一見矛盾しているようだが、この規則は学生が働けるようにし、なおかつ、税法上有利になるよう、学生のためを考えて作られているのです。

[雇用税]

多くの学生は、ビザさえ許せば働きたいと考えているでしょう。F, M, Jビザに許される範囲で働く場合には、アメリカのソーシャルセキュリティー(社会保障プログラム)の対象外となっています。即ち、社会保険やメディケアが天引きされないはずです。しかし、雇用者(特に学外の雇用者)や被雇用者の多くがこの点を見逃しています。ただし居住者として扱われる学生は全て、社会保険とメディケアの対象となります。
弁護士 デビッド・シンデル
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