ビザアドバイス
2003/09/15
Vol.45 宗教関係者の特別移民カテゴリーが2003年10月1日で打ち切り
いわゆる聖職者はビザ上、牧師(ministers)、宗教従事者(professionalreligious workers)及びその他関係者(others)の3つのカテゴリーに分けられています。 牧師以外の宗教従事者及びその他関係者のカテゴリーについては2003年10月20日に打ち切られることになっています。この二つのカテゴリーに相当する外国人は、2003年9月30日までに身分変更、あるいは移住を完了させなければなりません。同行する配偶者、子供についても同様の扱いです。2003年10月1日以降は、上記の2カテゴリーの外国人に移民を許可する規定は存在しなくなります。
国家安全省(DHS)が、医療従事者の非移民ビザに関する資格用件の変更に伴い、一年間の免除期間を発表
1996年の移民法343条により、外国人医療従事者(看護婦、理学療法士、作業療法士、発音言語療法士、聴覚療法士、医療工学士、医療技術者、助手)は証明書の提出が義務付けられました。国家安全省は、2003年9月23日以降、上記の外国人医療従事者は、新しい資格要求を満たす必要があると発表しています。国家安全省は、最終規定の発表後一年間は、身分変更や滞在期間の延長を新たな証明書なしでも認可する猶予期間を設定する方針です。この場合、認可は一年間の期限付きとなり、その間に新しい資格要求を満たす証明書を提出しなければならないことになる模様です。
L-1ビザの状況
米景気の後退の結果、アメリカの労働者側からは、外国人労働者に職を奪われ、政府の外国人労働者に関する政策の結果、被害を蒙っているとの主張が上がっています。 一方、企業側は、外国人労働者のおかげで効率が上がっていると発言しています。アメリカで専門職に従事している外国人についての論争が燃え盛り、H-1bやL-1によって入国する専門職労働者が、質の低い、安価な労働力を提供していると非難する人たちがいる一方で、多国籍企業や、ワシントンの全米エレクトロニクス協会などのように、ビザの発給を止めれば、米企業の競争力に悪影響を及ぼし、ひいては、アメリカ企業の海外移転を促進させることになると主張する人たちがいます。H-1b, L-1の保有者は70万人、いや百万人に近いという主張も有ります。この2ヶ月の間に、議会はビザシステムの改革を目的とする4つの法案を審議しています。新しくビザの枠を設定しようとするものから、ビザの発行そのものを停止しようとするものまで様々です。特に論争が集中しているのが L-1である。1998年以来L-1保持者の数は58%増加して、昨年度は58,000人となっています。
ビザ反対論者は、賃金の高いアメリカ人労働者を、低賃金の外国人労働者に置き換えるための格好の手段になっていると主張しています。 我々は、これと正反対にL-1ビザは、グローバルオペレーションに不可欠な、多国籍経営者をアメリカにひきつける役目を果たしていると信じています。反対論者は、L-1の規定がH-1bの規則よりも、緩やか過ぎると考えています。H-1bが個々の申請者を審査するのに対し、L-1の場合は、企業が一括して複数の労働者について申請するので、一人一人についての審査がおろそかになると主張しています。この点についても、我々の観点からすれば、L-1B申請についてのUSCISからの追加質問や、L-1ビザ取得の難しさを考えると、全く根拠のないものです。
確かにH-1bの場合と違って、L-1の場合には、「一般的な賃金」の規定もなく、またその職について米人労働者を募集する努力をしなければならないという規定もありません。しかしながら実際には、L-1保有者は、アメリカ人労働者よりも高い給料を支払われており、「一般的な賃金」の規則を適用しようとするのは手間が掛かり、無駄なだけですコネティカット選出のローザL. デラウロ議員が提出した法案が、法律家、活動家、移民専門家たちの支持を集めつつあります。この法案は、年間発給数35,000という上限の設定、一括申請の撤廃、一般的賃金の適用を提案しています。「状況は危機的な程度にまで悪化している。L-1ビザを何とかしなければならない。」とデラウロ議員は発言していますが、危機的状況などどこにもなく、昨年のビザ発給は58,000の多国籍経営者に対してなされたものです。これは合衆国における雇用総数に比べて、まさに大海に一滴の数であり、アメリカの労働者に対する影響は全くないと言って良いでしょう。
H-1bについて言えば、10月以降、年間発給数が195,000から65,000に減少することになっています。議会は、ドットコムブームの中、人手不足だった企業の圧力を受けて、2000年に枠を増やすという短期的処置を取りました。その短期的処置が終わり、景気が良くなるにつれて、H-1bの枠が払底し、危機的状況に直面することになるでしょう。
批評家たちは、現存の規定を厳格に適用するよう、特に「一般的な賃金」の規定をきちんと適用するよう、政府の対応を要求しています。ビザの延長についても、年間枠の中で発給するよう求めています。事実、労働省は、日本企業を含む雇用者に対する締め付けを強化しています。一般的な賃金の支払いの不履行については特に厳しく、雇用者にとって非常に不安な状況になっていると考えられます。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/
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