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2003/12/01
Vol.50  US VISIT Q&A その2

先月の記事でお伝えしましたが、2004年1月5日から新しい入国管理システムが導入されます。このシステムはUS-VISITと呼ばれビザを持つすべての外国人が入国時に顔写真と指紋の登録が義務付けられ、採取された情報は要注意リストと照合され、入国審査が行われます。訪問者の出入国記録は自動的にコンピューターで管理されるとともに、必要があれば登録された情報が捜査機関等に提供されることもあります。各方面から多く問い合わせを受けていますので、このシステムのQ&Aをさらに載せたいと思います。
Q. US-Visitの仕組みを教えてください。
A. 入国時に行われる手続きは、殆どこれまでの入国手続きと変わりません。税関及び入国審査官は、各入国者のビザやパスポートなどの書類を審査し、米国での滞在目的についての口頭審査を行います。更に、ビザを所有する入国者に関しては、税関及び入国審査官は、インクを使用しない自動指紋採取機で指紋押捺を行います。まず、審査官は、入国者に対して、両手の人差し指を指紋採取機のスキャナーに置くよう要求します。同時に、税関及び入国審査官は、入国者のデジタル写真を撮影します。入国審査官は、入国者の個人情報及び指紋データを基に、入国者の身元確認を行い、同時に、政府の監視対象人物リストに載っていないかどうかの照合を行います。データ確認の結果が出される時点で、税関及び入国審査官は入国を認めるか、それとも照合された情報を基に二次審理を行う必要があるか、の判断を下していることになるでしょう。今回の新たな審査手続きの導入は、入国時の詐欺行為、他人の身分の盗用、およびテロリストや犯罪者の米国への入国の防止、に大きく貢献するものになると期待が寄せられています。一方、米国を出国する際には、主要国際空港出発ロビーに設置された出国スタンド(departure kiosk)で「チェックアウト」手続きを済ませることになります。US-Visitにはそのシステムの一環として「生体認証に基づく出国審査」の導入も明示されていますが、これに関しては2004年から各空港及び海港にて実施されることになるようです。
Q. 出国時の「自動チェックアウト」手続きが終了すると次には何をしなければならないのでしょうか? もし出国手続きをした者がオーバーステイしていた場合、当局側はこの事実をいつ把握することになるのでしょうか?
A. 出入国の記録は、Arrival/Departure Information System(ADIS)によって管理されます。当局側は、このADISシステムのデータを基に、当該出入国者が、所有するビザに関する規定に従って滞在していたか否かの判断を行います。そもそも、米国からの出国に関しては、常に滞在期間に関する規則を遵守するよう心がけるべきでしょうし、こうした規則が守れない場合には、将来的に米国への再入国が認められなくなる危険があることを認識しておかなければなりません。ADISのデータは、常にリアルタイムで更新されています。出国者が認められた期間を超えて米国に滞在していたのであれば、オーバーステイの事実は即時にUS-VISITシステムに記録されることになります。
Q. ビザ免除国(Visa Waiver Program Countries)についても出入国に関する新たな規則が導入されるのでしょうか?
A. 導入されます。Visa Waiver Permanent Program Act of 2000では、ビザ免除プログラムに基づいて米国に渡航する外国人の出入国に関するデータの新たな収集方法を規定しています。この法律に基づいて、空港や開港で収集されるビザ免除入国者に関するデータを自動的に管理できる出入国システムの導入が進められてきました。2002年10月1日以来、航空会社からの米国の出入国データ自動管理システムへのデータの提供が無い場合には、入国者にはビザ免除による入国が認められないことになりました。更に、USA PATRIOT Act(米国愛国者法)は、「ビザ免除対象国は、2004年10月26日までに、生体測定に基づく鑑定を可能にさせる情報を記載したコンピュータ解読可能なパスポートを発行するプログラムを所有していることを証明しなければならない」と、規定しています。つまり、2004年10月26日以降は、米国政府は、電子化された生体情報が搭載されていない旅券を所持している外国人の入国に当たっては、ビザ免除による入国を認めないとの方針です。ちなみに、生体測定に基づく鑑定を可能にさせる情報とは、具体的にはInternational Civil Aviation Organization(ICAO)によって確立された鑑定基準を満たすもので無ければ成りません。つまり、2004年10月26日以降は、ビザ免除で入国する場合には、ICAO基準に則った生体情報を含むパスポートを所持していなければならない事になっています。更に同法は、「2004年10月26日以降は、国土安全保障省長官および国務長官の発給する書類(査証等)に関しても、生体情報を使用したコンピュータ解読可能なもので無ければ成らない」と、規定しています。
Q. US―VISITシステム上の情報にアクセスする権限は誰に与えられますか?
A. US-VISITシステムへアクセスする権限は、合衆国政府税関職員や国境の入国管理官、移民局(正確には移民関税執行局U.S. Immigration andCustoms Enforcement)の特別捜査官、U.S.Citizens Immigration Servicesofficesの裁判官、米国領事館、その他、連邦・州・地方の司法警察関連の公務員等に与えられます。
Q. Advance Passenger Informationとはなんですか?また、これはUS―VISITシステムではどのような役割を担っているのでしょうか?
A. 国土安全保障省は、国家安全保障強化の一環として、国境警備強化法(Enhanced Border Security Act)402条に基づき、Advance PassengerInformationを導入しました。これは、全ての商業運送業者は、旅客機もしくは船舶が米国に入国もしくは米国を出国する前に、所有する乗客名簿情報を、税関・国境保護局(Customs and Border Protection)まで、電子的に(コンピューターを通して)提出しなければならないというシステムです。この、指定された乗客名簿情報が「advance passenger information」であり、出入国時に指定の乗客名簿情報が提出されていない場合には、当該乗客への入国許可が下りないことになっています。advance passenger informationは、US-VISITシステムに、国家の安全保障に不可欠な事前情報をあたえてくれるだけでなく、出入国審査官は、この情報を得ることでより迅速な審査を行えることになります。2002年10月1日以来、ビザ免除プログラムにて米国に出入国する乗客の、到着および出発に関する情報は、航空会社及び船舶会社から税関・国境保護局(Customs and Border Protection)のAdvance Passenger InformationSystem (APIS)に集められています。
Q. 現在、出入国の際に乗客から集められている情報にはどのようなものが含まれますか?
A. 現在、入国審査官は、旅券からの機械読み込み可能な以下のような情報を入手しています。名前・生年月日・国籍・性別・パスポート番号・査証番号・旅券の種類(パスポート・査証など)・発給国。これに加えて、フライトナンバーなどを含むの利用航空(海)会社に関する情報も収集されます。
Q. これまでも、移民を除く外国人は入国の際に出入国カード(I-94)の記載が義務付けられていましたから、既に当局側は、上記の情報を全て取得していたのではないのですか?
A. 確かに、これまでの法律においても、航空、船舶会社は、こうした情報を提出するように義務付けられていました。しかし、今回の新法では、こうした情報を当該外国人の出入国前に事前に提出させることを定めている点、そして提出方法が電子フォーマットと定められた点が異なります。
Q. こうして収集された事前情報は、どのように利用されることになるのでしょうか?
A. The Advance Passenger Information System (APIS)を通して収集されたデータは、出入国データの照合を行ったり、他機関への報告手続きを行うために、出入国インフォメーションシステム(ADIS)に送られます。例えば、ADISは生に関する全ての入国データを学生及び交換留学生情報管理システム(SEVIS)に送ります。こうすることで移民局は、学校側に対して、「新たな外国人学生が入国した事実」と「その学生が30日以内に学校で修学を始めるべきであること」通知することができる仕組みになっています。実際のところ、新システムでの出入国データの多くは、航空船舶会社がCBPに提出する乗客名簿からの情報に基づいています。2002年19月1日以来、航空船舶会社がコンピューターを通して乗客名簿情報を提出しない場合には、ビザ免除プログラムによる外国人の入国許可は与えられないことになっています。
弁護士 デビッド・シンデル
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