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2003/12/15
Vol.51  H-1bビザの現状

2003年10月1日に移民法 INA 214(c)(9)(A)が廃止され、H-1bビザに重大かつ直接的な変化が生じることになりました。まずH-1bの1年間の発給上限枠がこれまでの195,000から65,000に変更されました。この変更を理解するためにはINA214(c)(9)(A)が変更された背景を知る必要があります。1990年代後半のアメリカの好景気、特にIT関連業種の人材不足により、海外からの専門職就労者が一気に増加しました。97年以降、もともとのH-1bの年間発給上限であった65,000を上回る申請がされるようになり、議会は99、2000年度の上限数を107,500に、01-03年度の上限を195,000に増加させました。これと引き換えにH-1bを申請する際に$1,000のトレーニングフィーの支払いを義務づけ、過去5年間に692百万ドル以上が徴収され、55,600人以上の米国の労働者のトレーニング、および、12,500人以上の米国の学生のスカラシップとして利用され外国人労働者に米国労働者の仕事を奪われてしまわないように役立てられています。

今回はこの一時的な措置が2003年9月30日に期限切れとなったため、発給上限が元の65,000に戻り、トレーニングフィーも必要なくなったわけです。移民局は、01年度には発給上限枠の対象となる申請のうち164,000を認可していますが、翌会計年度には半分ほどの79,000件、03年度は78,000件となっています。ここ2年間の経済状況(すなわち雇用状況)は全く低調であってもこれだけの数が必要とされているわけで、今年度の65,000の枠が1年を待たず消化されてしまうというのが大方の予想です。もし年度の途中で枠が消化されてしまった場合は、その会計年度内にH-1bを取得できないと言うことになるでしょう。その場合は次の会計年度が始まる10月まで待たなければなりません。

2003年10月1日よりレーニングフィー1000ドルが徴収されなくなり、雇用側の負担はぐっと減りました。既にH-1b労働者雇用のためにそれらの予算を組みこんでいた雇用主は、この1000ドルを特急申請(premium processing)に使えば、移民局の審査期間を15日間に短縮することが出来、上限数を心配しながら審査結果を待たなければならない状況を改善することができます。

H-1b従業員が全従業員の15%を超えている雇用主には、H-1b就労者を雇用する代わりに米国人労働者を解雇しないことが義務付けられていました。この規則も2003年10月1日で失効しています。しかし規則がなくなったにもかかわらず、H-1b労働者がLCAに従って雇用されている限り、この不解雇の労働条件基準(Labor Condition Application)は有効でしょう。
弁護士 デビッド・シンデル
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