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2004/04/05
Vol.56  L-1ビザへの転換

先日、国務省は2004年度のH-1bの上限数到達により今年度中のH-1b取得が不可能となっている人のLビザ使用について、各国の米国大使館領事部に対し、メモランダムを配布しました。これによると、“H-1b取得の条件を満たす外国人がLビザを含む他のビザを合法的に取得できない理由は特に無い“と強調していますが、その反面、H-1b取得が不可能な外国人によるLビザ及び他のビザ取得への詐欺行為や乱用が増えるとも通達しています。

L-1ビザは、管理職や役員職に従事している社員(L-1A)もしくは専門知識や特殊技能を保持している社員(L-1B)が、米国以外の外国企業から米国にある支店、子会社、もしくは関連会社に駐在する際に使われるビザです。会社に課されるLビザの条件は、アメリカにある会社か国外にある会社どちらかが、もう一方の会社の半分以上を所有しており、なおかつその会社をコントロール出来るという事です。また、その駐在員は、過去3年間で少なくとも1年以上外国の企業にて役員職・管理職もしくは特殊技能者として勤務しており、駐在先の米国の企業においても同等の仕事に従事しなければなりません。これらを証明する事により、米国にある企業は、会社の専門知識や特殊技能を保持するマネージャーやスペシャリストを雇用する事が可能になります。

今回、国務省はスポンサーとなる米国の会社で働く為のLビザについてではなく、米国にある取引先に派遣されるL-1ビザ保持者に対する問題にも触れています。 このLビザの派遣を“Job Shop”と表現しており、企業がLビザ保持者を低賃金にて米国のビジネス社会に派遣する事を指しています。

国務省によると、起こりうるLビザの乱用に関して、“Job Shops”と”Specialized Knowledgeの基準”に関する2つの問題が発生すると予想しています。“Job Shops”に関しては、スポンサーとなる米国企業が低賃金で働くLビザ保持者を派遣する為にLビザを使用することを懸念しています。Lビザを取得する為の条件の一つに、Lビザ申請者がスポンサーとなる米国企業の社員である事があります。この雇用関係を決定付ける重要な要素として、雇用側がその社員の仕事に対して仕事を命じ、なおかつその社員を管理する権利がある事を証明しなければなりません。雇用主がその社員に対して給与の支払いを行っているという事実のみを証明するのではなく、実質上の雇用関係の存在を証明する事により、Lビザの派遣が可能か否かが決定付けられます。従って、その社員が外国のスポンサーとなる企業から給与を支払われていたとしても、米国にある企業(スポンサーとなる企業の関連企業、支店、子会社ではない)の完全なコントロール下で働かない事実が発覚した場合、米国領事館は証拠と共に移民局に対してLビザの認可を破棄する為に書類一式を返却する事になりますので、細心の注意が必要になります。

更にメモランダムでは、Lビザ申請者の米国滞在中の給与や福利厚生の支払いの出所(スポンサーとなる企業の外国の関連会社か、もしくはその米国にある企業によってそれらが支払われるかどうか、等)だけでは、Lビザ取得に必要な条件を決定付けるものとしては認められないとされています。更に、雇用主と社員との関係は、ビザ申請者がスポンサーとなる会社から給与等の支払いを直接受けない状況も考えられ、その場合であってもLビザの取得の条件を満たしていないとは言えません。従って、明らかにLビザ申請者は米国で給与等の支払いを受ける必要はありません。しかしながら、外国の雇用主は米国の税金(給与税や所得税、等)に基づき給料を支払わなくてはならず、更にこの旨の通知を米国の州及び連邦税局に対して行なわなければならないので、現実的に見ると難しい問題と言えるでしょう。

最後に、国務省は領事部に対し、“specialized knowledge”の定義について指摘しています。もしLビザ取得者が米国にある取引先に派遣されれば、その人はLビザのスポンサーとなる企業の商品に関する仕事(例えばスポンサーとなる会社によって独自に作られたソフトウェアの設置、等)を行う必要があります。つまり。L-1ビザ取得者が一般的なソフトウェアを使うのであれば、それは“specialized knowledge”としては見なされないので、Lビザとしての条件を満たしているとは言えないでしょう。
2003年度のLビザ取得者は世界中で57,245人に登り、そのうち18,124人はインド人でした。(実際H-1bビザとLビザはインド人の中で多用されています)インドに続いて次はイギリス(6,820人)、そして以下は、日本、ドイツ、メキシコ、フランス、ブラジル、オーストラリア、ベネズエラ、中国の順です。(ちなみに同年における中国人のLビザ取得者は1,098人でした)
DS-156ニュース
DS-156は非移民ビザスタンプ申請に必要な申請用紙です。ここ6ヶ月ほどの間、この用紙はオンライン入力式で提出可能となっています。(公式サイトhttp://evisaforms.state.govから入手可能) 但し、この申請用紙を入手する公式サイトになかなか繋がらなく、申請者はその用紙へのオンライン入力が行なえない事が多くなっています。このように繰り返しオンライン入力に困難を来たしている人達にとって、ビザ当局では全ての申請においてオンライン用の申請用紙の使用(入力後印刷する際、1ページ目と3ページ目にバーコードで特殊番号が写し出される)を義務付けていましたが、今回のサイトへのアクセスの問題もあり、オンライン用の申請用紙の使用を進める反面、絶対に必要不可欠ではないと発表しました。今までオンラインでの入力を義務付けていた理由としては、オンライン用紙を申請者に記入させる事によって領事部側でDS-156の情報を再度入力しなくても良いという利点があったからです。ここで注意しなければならない点は、たとえあなたがオンライン式申請用紙を使わないにしても、2003年2月に発行された最新のフォームを使う事です。オンラインによるフォーム記入促進のため、今回紹介した国務省の公式サイトは以前よりは繋がるようになっていますが、未だ問題に直面している人が多いのも事実です。
PERMプログラムについての最新情報
米国移民法弁護士協会は労働局と下記のQ&Aを通じてこのPERMプログラムの発展状況を知ることが出来ました。PERMプログラムとは、長い間話題に挙がっている労働局での申請プロセスにおける新制度で、雇用主を通じて申請する労働局での永住権第一段階のプロセスが約2-3年から約1ヶ月に短縮されるプログラムです。PERMプログラムが実地されるのを待っている方にとっては非常に興味深い情報でしょう。

質問:PERM新法制定とその施行までの今後の予定をについて教えてください。

答え:
国務省はPERM新法を2004年2月23日に米国行政管理予算局 (Office of Management and Budget) へ提出しました。米国行政管理予算局はその新法を90日以内に検討し、適正法を審査します。もし米国行政管理予算局が堅固な見解を示せば、労働局は最終的に新法が交付される前に米国行政管理予算局によって取り上げられたあらゆる問題を検討し解決する必要があります。そして労働局はその公布後120日でPERMプログラムの実施を行うことになります。勿論その施行前には、その安全管理、システム上の適正管理、スタッフの調整、そして方針の制定などを管理するPERMプロセシングセンターを築く必要があります。現在労働局では、そのセンターが適切に施行されるようにこれらの具体的問題解決に取り組んでいます。

PERMプログラムの申請書類が何処で審査され、そしてその審査結果は地方もしくは国立審査局、どちらの局に報告されるのか教えてください。

答え:
現時点ではアトランタとシカゴの2箇所にPERMプロセシングセンターを設けて、国立審査局に報告すると予測されます。労働局はPERM施行に対し比較的前向きで、PERMプログラムが現状の労働局においての永住権申請のプロセスが抱える多くの問題を解決する重要な改正法だと考えています。例えばPERMの重要な2つの目的はより早く、そしてより首尾一貫した判定を行うということです。PERMプログラムの公布から施行までの間、労働局は特別の申請用紙、プロセスの概要、そしてNPRM(規則制定提案告示)と最終的な新法案との違いなどについての情報をウェブサイトに掲載するでしょう。さらにまた、国務省はあらゆる場所でPERMプログラムに関する公共の教育セミナーを開催する予定でいます。

米国移民法弁護士協会はPERMプログラムが2004年10月以前に施行されるとは予測していませんが、今後のPERMプログラムに関するニュースには注目すべきでしょう。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/