ビザアドバイス
2004/07/07
Vol.62 最新移民法ニュース
もう皆さんもご存知のように2004年2月17日に2004年度 (10/01/03 - 09/30/04) のH-1bの発給限度枠が上限に達し、現在では2005年度(10/01/04 - 09/30/05)のH-1bの申請を移民局では受け付けています(H-1bの申請は就労開始予定日の6ヶ月前から可能)。しかしながら、移民局はその上限枠到達から引き起こされる様々な問題について正式な発表はまだ行っていません。そこで、F-1、J-1ビザ保持者の新規のH-1b申請を例に今回のケースに対する問題点について考えてみたいと思います。 F-1ビザ、J-1ビザ保持者がプログラム終了後、オプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT)で働いている場合、F-1ビザならOPTの有効期限から更に60日、J-1なら30日の猶予期間(グレースピリオド)が与えられ、その猶予期間中は合法的に米国に滞在することができます。つまりOPTの有効期限日にその猶予期間の日数を足した日時が2004年10月1日以降ならば2005年度の新規のH-1bの就労が認められるのにあわせて米国内でのH-1bへのステータス変更が認められることとなります。ただし、例えばF-1ビザ保持者のOPTの期限が8月25日である場合など、その猶予期間は合法的に滞在できたとしても、OPTの有効期限日からH-1bの就労開始日までの猶予期間中は米国内での就労は認められません。
しかし、もし新規のH-1bによる就労開始日と、OPT有効期限に60日もしくは30日を足した猶予期間の終了日との間に期間が発生する場合、その期間は合法的に米国に滞在することができません。以前の移民局はこのようなケースにおいて、猶予期間を9月30日まで認めましたが、現在の移民局の発行するH-1b許可証を見る限り、新規に就労の始まる2004年10月1日までに猶予期間を含めた現在のステータスが維持されなければ米国内でのH-1bステータスへの変更を行わない姿勢を移民局は示しており、2004年10月1日までFビザ、Jビザのステータスが維持できなければ、現在のステータスを失うか、外国でH-1bの許可を待たなければならないでしょう。
一方、OPTが終了し、その後の猶予期間中の従業員の扱いに関する解釈に対し、様々な話が存在します。例えば、その猶予期間中、報酬等の支払いの発生しないインターンシップとして仕事を奉仕することは認められるという話があります。しかし厳密には多くの州ではそのようなインターンシップに対しても、例えば保険が報酬という形で与えられます。従って、その場合、奉仕に対する報酬があることで、不法就労と見なされるかもしれません。
次に、その猶予期間中にトレーニングを適用すれば良いという話があります。その場合、トレーニングそのものは、たとえ報酬が与えられても、いかなる仕事も会社には奉仕されていないため、不法就労とは見なされないと解釈できるかもしれません。しかし、この場合、OPTが終了し、H-1bが許可されたにもかかわらずトレーニングが始まるということになるため、トレーニングそのものが疑い深いものになるかもしれません。更に、実際に会社への奉仕をなくすため、その期間に有給休暇を適用すれば、就労とは見なされないと解釈する人もいます。
猶予期間が2004年10月1日より前に終了するFビザ、Jビザ保持者による新規のH-1b申請に対し、今のところ移民局は、H-1bへのステータスの変更を認めないでしょう。従って2004年10月1日からH-1bでの就労が認められても、H-1bのステータスを得るためには米国から出国し、国外にある米国大使館又は領事館にてH-1bビザスタンプの申請を行い、それを取得後、米国に再入国する必要があるでしょう。その場合、母国でのH-1bビザスタンプの取得が一般的ですが、第三カ国者(TCN)としてカナダやメキシコ等の大使館及び領事館でも取得は可能です。しかし、H-1bビザ保持者としての米国への入国はH-1bビザ許可証に記載されている就労開始日の10日前より可能になることに注意してください。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/
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