ビザアドバイス
2004/08/02
Vol.65 非移民ビザの延長申請ならびにその審査について
移民局のアソシエイトディレクターであるウイリアムイエーツ氏が最近通達したメモランダムに、就労ビザなど、以前移民局への申請を通して非移民ビザを取得した人が、就労先、職務内容等以前と申請内容が同じ状況における非移民ビザの延長申請について言及しています。今回、その概要について紹介したいと思います。 イエーツ氏は同じ会社で同じ職務内容である場合の非移民ビザの延長申請の審査に関して、以前の審査官が下した許可決定には延長の審査を行う審査官もそれに従うべきであると述べています。ただし、下記のような場合においては以前の申請許可には従うべきではないことを再確認しています。
(1) 以前の申請に関して何らかの「申請上の明らかな誤り」があったと認められる場合
(2) 会社の経営状況など就労状況が著しく変化した場合
(3) スポンサーとなる会社または申請者本人の就労ビザ取得条件に悪影響を及ぼすような何かしらの新しい情報がある場合
上記のようなケースが見られる場合は、追加情報を求める質問状を提出する際、またはそのまま却下の審査決定を下す際には、はっきりと言及されなければなりません。
イエーツ氏は(1)の「申請上の明らかな誤り」の定義を、手元にある申請書類の事実と、申請しているビザの必要条件とを照らし合わせた際に見られる客観的な法律上の明らかな誤りとしています。例えば、以前H-1b申請に対して認可されたポジションに関し、申請者本人の大学学士号は現在ではふさわしくないと判断されればそれは「申請上の明らかな誤り」となります。一般的に移民局の審査官は、例えば申請者本人の教育や職務経験の評価など、以前に別の審査官の主観性を伴う決定については異議を唱えるべきではありません。
今回イエーツ氏が通達したメモランダムに対して私の個人的な意見としましては、彼の言う「申請上の明らかな誤り」の定義は明確ではなく逆に混乱を招くものであると言えるでしょう。彼は「申請上の明らかな誤り」を客観的に判断できる明らかな間違いと定義付けています。例えば申請者本人の大学の学位が、申請しているポジションに対してふさわしくないなどの判断も客観的としています。それにも関わらず、現在の移民局の審査官は申請者本人の教育の評価など、以前の審査官による主観的な審査決定に対して異議を唱えるべきではないと続けて述べているからです。
更にイエーツ氏は、著しい状況の変化とはスポンサーとなる会社または申請者本人の非移民ビザ取得の必要資格に対するどんな申請上の変更を含むとしています。例えばLビザにおいては、国外の親子もしくは関連会社との出資関係や申請者本人の会社での役職上の就労状況の変化は著しい状況の変化と見なされるでしょう。また、H-1bビザにおいても、例えば延長する際に申請するポジションにライセンスが必要となった場合や勤務先のスポンサーが米国から撤退してしまう場合など、それらについても著しい状況の変化と言えるでしょう。
イエーツ氏は、センター移民局の副長官に対して、就労先や職務内容など就労状況が変わらない非移民ビザの更新申請を含むすべてのケースを対象に、もしそれらのケースに申請上の明らかな誤りや著しい状況の変化がなければ、特別な理由がない限り、追加情報を求める質問状の発行や最終決定を行う前に、文書によりはっきりと説明することを求めています。こういった場合においても、延長申請の妥当性に対して質問状を出すかもしくは申請を却下するかの判断は、審査官の独自の判断となります。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/
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