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2004/09/07
Vol.67  ビザ申請後の追加資料および追加情報の要請に関する移民局の見解

現在の移民局は通常、移民及び非移民ビザの申請審査に関し、必要書類が不足している場合や条件を満たすかどうかについての立証が不足している場合は直ちにその申請を却下せず、審査過程として追加資料および追加情報の要請(Request for Evidence)を申請者に対して行います。今回この追加資料および追加情報の要請に関して移民局は新しい見解を示しましたので、移民局が発行したメモランダムを基にその概要を紹介したいと思います。
現在の移民局での審査においては、ビザ申請者がビザ取得の基本的な条件を満たしていれば、たとえ必要書類に不足があったとしても、追加資料及び追加情報を必要とせずそのまま認可する事が出来ます。また全申請において追加資料の要請をしなければならないという規定もありません。しかしながら、通常移民局では追加資料および追加情報の要請が行われており、その現状の審査方法が限られた移民局の審査処理能力に多大な影響を及ぼしているのは事実です。それに伴って、現実に審査期間には遅れが生じ、ビザ申請者に対する混乱を招く結果となっています。

今までは審査に掛かる時間を軽減する為、移民局には様々な提案がありました。しかしながら、今回のメモランダムでは、移民局はすべてのケースにおいて、最終審査の決定を行う前に、追加資料および追加情報の要請を行う必要はないと繰り返し述べています。詳しくは次の通りになります。
移民局から追加資料および追加情報の要請なしにビザ申請が却下されるケース
ビザ取得の基本的な条件を満たさないケースにおいては、追加資料および追加情報の要請が行われることなく申請は却下される可能性があります。

その基本的なビザ取得の条件とは、現在の移民法の規定に記されており、それら条件を満たさないケースにはビザ取得の条件を満たすことを立証できない場合も含みます。具体的な例をいくつか取り上げてみたいと思います。

1. 年齢が18未満の永住権保持者にも関わらず通常の市民権を申請している場合
2. 親戚を通しての永住権の申請において、その親戚が申請条件を満たす関係を持っていない場合
3. L-1ビザの申請において、米国以外の外国企業とのつながりのない会社を雇用主と した申請の場合

また、移民法を通して、ビザ取得に必要な基本的条件を見たさないケースには、各種ビザの本質的条件を立証できない次のようなケースも例として含みます。

1. H-1Bのビザ申請において、申請に必要とされる関連した4年制の学士号もしくはそ れと同等の進行性のある職務経験をもたない申請者によるH-1Bのビザ申請
2. E-1(貿易業者ビザ)またはE-2(投資事業者ビザ)申請において、米国と通商条約を締結している国の国籍ではない申請者の為のEビザの申請
3. H-2Bビザ申請において、就労期間の限度である3年を超えたH-2B所持者を代表した雇用主によるH-2Bビザの申請

以上ここにあげたビザ取得のための基本的条件を満たさないケースの例は、追加資料および追加情報の要請が行われることなく申請は却下される恐れがあります。

先ほども述べましたが、現在の移民局の規定ではビザ取得の基本的条件を満たしていることを明確に必要書類とともに立証しなければなりません。また、移民局の審査官は、ビザ申請に必要な書類が移民法の規定に従って不足なく提出されていれば、最終結果の決定のサポートとなる追加資料および追加情報の要請を行う必要はありません。つまり、審査官は最初に提出された必要書類のみで審査を行うこととなり、申請者がビザ取得に必要な条件に対しての立証が充分に行われていないと見なせば、追加資料および追加情報の要請なしにそのケースは却下されることとなるかもしれないということを意味しています。具体的な例を一つ紹介します。

雇用ベースの永住権の申請に関しては、そのビザ申請者の就労ポジションに対して労働局が基準としている一般的な賃金を雇用主が支払うだけの能力があるかどうかについて、あらかじめ必要な書類を提出しなければなりません。現在の移民法では、雇用主の給与等の支払能力を立証できる書類として、年次報告書のコピー、タックスリターンのコピー、または監査済みの財務諸表等のコピーが有効となっています。その雇用ベースの永住権申請の際にはそれらの書類の中からどれか一つのコピーを必要書類として提出することになります。それを基に移民局は雇用主の支払能力を審査しますが、もし移民局の審査官が、提出された書類からは雇用主が十分な給与を支払うことができないと判断すればそれ以外に雇用主の支払い能力を示すことのできる追加資料および追加情報の要請を行うことなく申請は却下されることになるかもしれません。
追加資料および追加情報の要請が行われるケース
現在の移民法において、移民局はある一つの状況、つまり必要な書類が不足している場合においてのみ追加資料および追加情報の要請を行う必要があることになっています。その申請に必要な書類は移民法の規定に明記されているばかりではなく、申請を行う際の移民局からのインストラクションにも明記されています。その他、ビザ取得に必要な条件を満たしているか疑問な点がある場合や、完全に必要な条件を満たしていると立証できていない場合などは追加資料および追加情報の要請が行われますが、全てのケースにおいて、それらの要請を行うかどうかは移民局の各審査官の自由裁量にゆだねられています。そこで、ケースが却下された場合、ビザ申請者は現在の移民法の規定に従い、場合によっては、提出書類の内容を再検討し必要書類を移民局へ再提出することになるかもしれません。

移民局はビザの申請に対し、公平で質の高い審査および最終決定を行うことに専念しています。移民局の審査官は提出書類の内容をありのまま評価しなければなりません。また、最終結果が却下になるということであれば、移民法の規定に従って、その特定の却下理由をはっきりと説明しなければなりません。またその移民局による正式な却下は、あらゆる法的規定や調査に対しても充分公平で説得力があるものでなくてはならず、その却下理由は文書に正式に記されなければなりません。また、今後、ビザ取得を却下された申請者が再審査を希望する際、その再申請についてどのような手続きを踏んでいくべきか詳しい注意書きも併せてその文書に記されなければなりません。

今回紹介した移民局からのメモランダムは単に移民局の職員に対して、より効率的に業務をこなすために書かれたガイドラインにすぎません。これをもとにして何か新しい権利が作り出されているわけではありません。また、なんらかの訴訟事項等の手続きにおいて、これが個人もしくは第三者によって法的強制力を持つものでもありません。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/